年別アーカイブ: 2005年

あと一ヶ月

今日は11月5日。12月5日が開院日だから、あとちょうど一ヶ月。
期待やわくわく感は心の中にあるが、今表現してしまうのは、焦りである。
建築においては、毎日毎日完成に近づいているのがよくわかる。ありがたい。ありがたすぎて、がんばって下さってる方々になんて言ったらいいのかわからない。ありがとうございます、お疲れ様です・・・そんな言葉でしか、表現できないのがくやしい。
建築現場の事務所へ顔を出すと、切迫感のある会話が聞こえる。
「期限は決まってるんだぞ」「言った事はやってくれ」責任者のKさんの声が現場のみなさんに飛んでいる。クリニックのために、労働して下さり、クリニックのためにKさんも声を大にして、檄を飛ばして下さっている。こんなありがたい事、うれしい事はない。他人の夢にここまでして、パワーを注いで下さっているのだ。
設計室のYさん、設計をお願いしてから、九州にいる時間より、京都に滞在して下さってる時間の方が長いでしょう。こんなに遠い地の施主で申し訳なく思う。
それでも、「あと一ヶ月なんです、お願いします」と頭を下げるしかない。お任せするしかない。
私たちは、あと一ヶ月の間に家具を入れ、医療機器を入れ、内部の仕組みや動きを把握し、スタッフの研修を行い、手順を考え、制服を発注し、勤務体制を考え・・・・・。それから、スタッフの種々の保険や税金、給料の手配、内覧会の準備、細かい物品の手配・・・・・。それから、薬や検査の査定や納品、各チラシや看板の手配、駐車場の案内・・・・・。それから、食器の選定、調理器具の選定、パソコンのソフトの入力や練習、税理士の先生や社会労務士の先生との連絡、リネンの確保、洗濯の手配、ゴミや医療廃棄物の手配・・・・・。それから、京都市医務課や保険事務局、医師会や保健所、消防などの審査・・・・・。まだまだある。
あと一ヶ月である。あと一ヶ月でそれらを整えて、初めて患者様をお迎え出来るのだ。患者様に迷惑をかけられない。嫌な思いをしていただきたくない。細田クリニックに来てよかった、っと思ってもらえるようにがんばらねばならない・・・・。こんなに大変で、やる事がたくさんあって、1日24時間では足りない、と感じるくらい焦っている。
なのに、頑張り屋でも理想だけを追う人間でもない私が全然毎日が嫌じゃない。不思議なくらいがんばれてしまう。
それは、細田クリニックにきてよかったと思ってもらいたい、その一心。
その思いの理由、また、1番の願いは、
  お産の思い出が大切なものであって欲しいから
  女性のライフスタイルの中で、更年期も生理も苦痛なく過ごして欲しいから
である。
女である私だから余計に思う・・・・。院長はこの思いを120%共有している。

休息日

11日、スターティングメンバーの顔あわせを行った。11時から約2時間、今後の日程および種々の書類の説明、そして自己紹介。あっという間に時間はたった。偶然であるけれど、すべて「1」ならびのスタートとなった。今日にふさわしいなあ、ちょっと大げさだが感動してしまった。
最初は、歩く足音が聞こえるほど静まりかえっていた会場が、お昼をはさみ後半30分はにぎやかな女の一軍になっていた。スタッフの一人が「こんなかしこまった職員の姿は今日しか見られないかも知れませんね。」っと話してくれた。きっと、そうであろう。これからはこんな緊張したおしとやかなスタッフはみられないかも・・・。みんな初対面とは思えないこの雰囲気がとてもうれしかった。そこに男一人の院長も言葉は少ないが、全く浮くことなく違和感も感じなかった。さすが、産婦人科医!


さて、今日11月3日祝日は、何ヶ月ぶりに仕事の予定がない。
仕事をがんばるには、気分転換が必要、人間を高めるには仕事以外の刺激も必要、と、今日は主人と映画を見に行く予定をたてた。朝から、河原町まで出向き、予約を取りに行ったものの、すでに夕方まで満席。やはり、休日は無理に決まっている。わかっていたが、ちょっとショック。渋々あきらめお昼を食べて、主人の誕生日のプレゼントを見るという名目で大丸へ行き、結局紳士服売り場をすっと通り過ぎただけで、帰りに100円ショップで買い物をして帰宅した。
たった、3時間の気分転換。今日はクリニックの事を忘れていいか・・と決めたにもかかわらず、二人の会話は「この置物受付に置いたらかわいいね」とか、「この食器ならクリニックで使えるね。」とか。それでも、充分楽しかった。
帰宅してから、ふっと、思い出した。開業をする前に主人に言われた言葉がある。
「開業したら、旅行どころか、デパートも無理だよ」と。
でも、私は、その時こう答えたのを思い出した。
「口では、ずっと、『温泉行きたいよ~、連れて行って~』って言い続けるけど、実際はスーパーでいいから付き合ってよ。それで、満足すると思うから」という会話。
現実になった。12月から軌道に乗るまでは、どこにも行けない。でも、以前交わしたその会話通り、たった3時間の外出、しかも100円ショップで雑貨を買っただけで、「あ~楽しかった」と思えるのだ。
だから、明日から、また、クリニックのために、がんばろうって思えるのだろう。
私がこうしてブログを書く間、主人は横で、「これからは昼寝も出来ないなあ、今の内に寝ておかねば・・・」と高いびきで眠っている。

ベッド

今,ベッドの決定をしようとしている。
クリニックに入院して頂く方々にとってベッドは大切な物である。
家庭なら、夜1日の生活を終えて使用するだけの短時間であるが、入院となると1日のほとんどをベッドの上で過ごしていただくことになる。
ベッドの種類は数え切れないほどある。
百貨店、量販店、通販のカタログ、などなど・・・たくさんの利点をうたい文句に、値段もピンからキリまである。
ベッドを決める事で悩むと思わなかったから、納品期限ぎりぎりになってしまった。
設計士の先生に提示して頂いたベッドの優れているところをお聞きし、他のクリニックで使用されている事も聞いた。
しかし、1度さわってみたかった。紙面上だけの利点を信じて決めるのではなく実感してみたかった。無理にお願いして、自宅に1台搬入して頂くことになった。実際さわってみたら、すごくいいベッドである。今話題の最新のベッド。
しかし、残念な事に私には合わず、酔ってしまった。高級なベッドに寝慣れないせいかベッドから降りたあともジェットコースターから降りたみたいになっていた。
私1人だけの意見ではいけないと思い、何人かに寝っ転がってもらった。「ゆらゆらするね」「ボヨヨ~ンって感じ」が第一声。
そこで、主人と打ち合わせの合間にいろいろなお店をはしごし、展示してあるベッドに座ってみたり、横になったりしてみた。「こんな感じ」という感触を体で覚え再度、設計士の先生に相談してみた。
・・・・・・今の時点でまだ決まっていない。納入に間に合うか。
しかし、お産という大役をはたし終えてホッとしたお母さんがベッドで横になり、傍らでお父さんと上のお子様がベッドの縁に座り・・・・・。
そんな光景を想像したら、簡単に決めてはいけないと思う私のこだわりである。
                            ERI.HOSODA

お答えします

先日ブログの中で、ななこ様より入院費用のご質問をいただきました。ななこ様のメールアドレスがわからずこのページでお返事させて頂きます。実際ななこ様だけでなく、お電話で同じような質問をたくさん頂いております。みなさん、かかる費用はもちろん気になられる事ですよね。
ただし、当細田クリニックは全くの新規開業です。今までは・・・という例を出す事が出来ず、「おそらく」とか「だいたい」という言葉が前につく事をご了承下さい。


分娩による入院費・・・・・その人それぞれの分娩経過や入院日数により異なりますが、おおむね40~45万円です。(余談ですが、分娩費用は地域によって差があるそうです。平均関東では関西のおおよそ10万円ほど高く、地方では少なくても5万円は安いそうです。)
外来費用・・・・・入院費と同じく人それぞれの内容や出される薬によって異なりますが、普通の妊婦健診ならば、3~5千円程度でしょう。


その他、日々、ななこ様以外にも直接メールやお電話でご質問をいただいています。よく聞かれる内容に関しいくつか、上げさせて頂きます。
入院施設・・・・・全室個室です。お部屋ではご主人にも泊まって頂けるようにソファーベッドを備えています。ご希望があれば、お食事(実費になります)も用意させて頂きます。
分娩・・・・・立ち会い可能な分娩室で、お産が重なってもプライバシーが保たれるように2室あります。産後は母子同室ですが、お疲れの時などは、新生児室でお預かりできるようにしています。
お食事・・・・・産後に必要な栄養素やカロリーを考えた食事で、かつ、おいしいと思ってもらえるメニューを栄養士の方と相談中です。また、産後しばらくはくつろぎながら食事が出来ない、と言う声を元に、ご希望があれば入院中にご主人や上のお子様と、お祝いをかねたお食事をしていただく計画も考え中です。
 
 その他、婦人科の方や更年期の悩みをお持ちの方、御妊娠希望の方、生み分け希望の方などからもここでは書ききれないほど、たくさんお問い合わせのメール、お電話をいただいています。出来る限りのお返事をさせて頂きますので、お気軽にご連絡下さい。電話番号は近々クリニック新設に伴い専用の電話番号が決定致します。ホームページか何らかの方法でお知らせ致します。


 それから、ななこ様がブログの中で「立派な建物=費用が高い?」とかかれていますが、決して患者様からいただく診療報酬に闇の上乗せなんていたしません。正直なところ、建物にはかなりの金額を投資しました。(・・・というと聞こえがいいですがすべて借金ですf^-^;・・・) だからと言って、プラスαの請求はしませんから、ご安心下さい。院長いわく、「借金は80才までに返せたらいいか・・・」なんて言っています。
 いったい何歳まで現役の産婦人科医をやるつもりやら・・・・・。

はずれたシート

今週初め、養生のシートがはずされた。
見まくった。
五条の南の歩道から・・・
建物の真下から・・・
天神川の南からクリニックに向かって歩きながら・・・
車で西から東へ・・・東から西へ・・・
西京極球場の歩道橋の上から・・・
夜の建物・・・
夕日があたる建物・・・
朝日があたる建物・・・
いろんな形で見えた。建物の色が(正確には正面のルーバーが)角度によって違う色を呈した。想像とははるかに大きく目立って見えた(自己満足かも?)。

これから先この中でどんな人間関係が出来るのであろうか。
働くスタッフ同士、スタッフと患者様、妊婦様、生まれてきたかけがいのない子供たち・・・
この建物の中で、いろいろなつながりが出来ていくだろう。いろいろな会話があるだろう。
そのつながりを大切に大切にしていこう、細田クリニックに行ってよかったと思ってもらえるように心がけよう、人と人のつながりが、こんなに大切でうれしいことなんだ、と感じてもらえるクリニックにしよう、いいことがたくさんあるクリニックにしよう・・・・
そう、私たちに思わせる建物に出会った。
今まで建物の完成を1つの目標に進んできたが、これからが本当の細田クリニックのスタートなんだと涙が出るくらい感じた。こんな心境初めてだ。体験した事ない。建物に恋したのも生まれて初めてだ。
きっと、この建物に来て下さる方、働いて下さる方を愛する事は、院長も私も自信を持って出来そうだ。

最後に、こんなに愛せる建物を与えて下さった松山先生をはじめ松山建築設計室の皆さま、現場で働いて下さっている皆さま、清水建設の皆さま、本当に本当にありがとうございます。(あと少しよろしくお願いします。)
                               ERI.HOSODA