細田クリニックのひとりごと

体重管理

妊婦健診のたびに、言われること。
それは、体重を増やさないで、ということだ。
妊婦健診を受けておられる方や、お産をされた方はよく知っておられることであろう。
でも、私たちの親世代より上の方は
「おなかに赤ちゃんがいるのだから、二人分食べないとね」
と言われる。結構、多く聞かれる。
でも、それは、間違い。大きな間違い。
太りすぎにより、余分な脂肪がつき、赤ちゃんの出る産道を狭くする。つまり、難産。難産は赤ちゃんにとって最大のストレスだ。
また、体重を増やしてしまうことにより、母体のあちこち、心臓や腎臓にもストレスが加わる。
すると、血圧も高くなり、腎臓の働きも悪くなる。そうなれば、赤ちゃんの成長だけでなくお母さんの命にも関係してくる。

昭和の戦前、戦後は食べ物が貧食だった。
その頃は、少しでも、妊娠中の母親に食べ物を食べさせるために、そう言ったのであろう。しかも、今の時代のように、中華やイタリアンなどのように高カロリーな物はない。食べたとしてもしれているのであろう。
さらに、掃除1つにしてもほうきで掃いて、雑巾で床拭きをしていたであろう。今では掃除機で簡単に、時には、クイックルワイパーでスーと終わらせる。
テレビ1つにしても今のように座ったままリモコン1つでONOFFなんてありえない。つけたり消したり、チャンネルを変えたり、全部テレビそのもののスイッチやチャンネルを触りに行かなければならなかった。
洗濯も、台所でも、あらゆることが便利になり、体を動かさなくなっている。
ということは、現代はカロリーは消費しなくなっている。その上に、手軽にマクドに行けたり、24時間食べ物が買えるコンビニが近くにあったり。
そんな環境で
「安産のために、赤ちゃんとお母さんの命を守るために体重管理しましょう」
といっても難しい。妊娠したから昭和の時代に戻りましょう、なんて無理な話。
どうすればいいのだろか、永遠の課題かもしれない。
今日も一人の妊婦の方の妊婦相談を行った。
その方も、明らかに実家へ帰ると、体重が増えてしまう、どうしても、動く量が減り、食べる量が増える、という結果。
わかっているんですけどね・・ということであった。
もし、これを読まれたおばあちゃんおじいちゃんの世代の方、また「妊婦の食べすぎはいけないのか~」と初めて思われた方、これからは「赤ちゃんの分も、二人分食べないと・・・」という言葉は忘れて欲しい。
それが、安産となり、元気な赤ちゃんの誕生に結びつくのだ。
安産の神社でもらうお守りより、何より安産に結びつくと思う。
                            eri.hosoda