細田クリニックのひとりごと

助産師学校の友人

先日、助産師学校時代の友人と会う機会があった。
助産師学校・・私たちの時代は、つらくて、苦しくて、泣きながら実習を行っていた。本当に本当につらかった。
久しぶりに会って、その頃の思い出を語った。
しかし、彼女は、今、外交官の妻。
来月からご主人と子どもたちと3年間フィリピンの外務省へ赴任することが決まっている。
外交官の奥様の世界は、私たち助産師には想像を絶する世界だった。
お産の経過を推測する私たち。・・彼女は、他の国の外交官の奥様方に、どのように会話するのか考えている。
どうしたら、おっぱいがよく出るか考えている私たち。・・彼女は、どうやって世界の外交官夫妻を接待をするか考えている。
毎日、患者様にどうやってサービスをするか考えている私たち。・・彼女は、日本の代表する身なり、しぐさ、行動を身につけなくては、と考えている。
同じ学校を卒業して、今は全く違う世界。
私は、彼女の生活を尊敬し、絶対私には出来ない世界だとつくづく感じた。
(彼女は、「今の時代に産婦人科を立ち上げていく世界の方が凄いよ」と言ってくれたが。)
夫についていく妻としては、同じ立場であるが、知らない世界に入っていかなくてはならないということは私と全く違う。
そんな彼女は、てっきり助産師の仕事を忘れて今の立場を充実させているのか、と思っていた。
しかし、彼女は、言っていた。
とりあえず、また、お産に立ち会いたい、早く助産師に復帰したい、と。
赤ちゃんの香りを匂いたい、おっぱいのあとの「ガフォッ」というゲップを耳元で聞きたい、と。
私たちが行っているお産の介助、毎日変化する赤ちゃんの匂いや普通に聞いている赤ちゃんのゲップ。
産科から離れてみて初めて、産科でしか感じられない数々に懐かしさを感じるのであろう。
別世界にいる彼女から、改めて教えられ、新しい刺激とリフレッシュをもらった。
いろんな人のお産にめぐり合える場所にいることは、すばらしいことなんだ、ということを。
感謝、感謝。
            eri.hosoda