年別アーカイブ: 2007年

うどんとお産

今日は、シンプルな、暖かな、お産を紹介しようと思う。

日曜日の午前中に、「陣痛が10分ごとです」というお電話をいただき
来ていただくことにした。
20分ほどでクリニックに来られて、診察をした結果、
子宮口1~2cm、陣痛計を着けたら、まだ不規則で、間延びするときは12~13分間しっかり間があいていた。
つまり、初産婦さんなので、まだまだ分娩には道のりが長い。
ご主人と相談の結果、自宅に帰ることに決定。
産婦さんも、「まだ笑っていられるから・・」とにこやかに話しておられた。
それから2時間後、「5分おきになって痛さもかなりきつくなってきました」
と電話があり、再度来ていただくことにした。
そして、診察の結果、
子宮口5cm!陣痛間隔4~5分ごと。
入院決定。
着替えをしていただいて、母子手帳や診察券を預かり、陣痛計をつけて・・。
30分ほど赤ちゃんの元気な状態と陣痛の強さを確認したうえ、陣痛計をはずした。しばらくは、ゆっくり会話したり、呼吸法の練習をしたり、分娩待機室で過ごし、その後、3階の部屋に一度行きましょうか、という事になった。
分娩待機室からエレベーター前まで歩いた結果、かなり、きつい陣痛が数回。かなり、いい陣痛になってきたので、早かったら、今日中にお産になるかも・・、と話していた。
とりあえず、3階の部屋に行くのはあきらめて、また、陣痛待機室へ戻った。
そのときに診察、子宮口8cm。
あまりにも早い進行なので、早めに分娩室へ移動することにした。
そこへ、産婦さんの姉妹が来院。1回だけ腰をさすっていただき、陣痛の合間を見て分娩室へ。
分娩室へ入り、あっという間に、子宮口全開!
赤ちゃんを迎える準備をしているうちに破水。
それから、30分ほどでお産になり、元気な赤ちゃんの誕生、となった。早くて今日中、どころか、まだ、外は明るく5時にもなっていなかった。
その後のご夫婦と院長とベビー係の看護師と私とでゆったりと会話。
お母さん・・・「家に帰って、主人がお昼ご飯にうどんを作ってくれたんですけど、もう、痛くて食べられなかったんですよ。なのに、食べろ食べろって・・。あのうどんそのままにしてクリニックに来ました」
お父さん・・・「せっかく僕が作ったのに、うどん2~3本しか食べてくれなくって。そんなの、まだ子宮口1cmだったんだから、まだまだ。がんばって食べろ、なんて言ってたんです。
でも、こんなに早かったら、本当に食べられなかったんですね。僕の負けです」
普段から料理を作ってくれるらしいし、陣痛の時もいっしょに呼吸法をやってくれていたし、自然に腰をさすっておられたし、きっと素敵なお父さんになられることでしょう。何より、生まれた直後のお父さんの涙はその証拠だと思う。
感動と和気あいあいの中、私は、院長の方を向いて
「お父さん、料理してくれるんですって」
と語りかけたら、お母さんは
「先生も料理されるじゃないですか・・。ブログで見ましたよ」
とフォローが入った。
ここぞとばかり、自慢げな院長。

入院されて、4時間ほどで元気な赤ちゃん誕生!・・・の裏話。
お母さんいわく、「うどんを見るたびにお産を思い出しそう」と笑顔だった。
ps:ブログに書くこと本人さん了解済み。記念になるでしょうか?
                eri.hosoda

久しぶりに・・

今日は久しぶりに自宅でお昼を食べた。
お昼を自宅で食べたのは何ヶ月ぶりであろうか。
夕べも夜勤の間に二人の赤ちゃんが誕生した。
なぜだか、クリニックがオープンして以来、外来中にお産になった回数は数えるほどで、昼間であってもお昼の外来が一瞬途切れる時間帯だったり、土日だったり・・。しかし、もっぱら、夜が多い。今度時間があったら生まれる時間帯を調べてみよう、と思ったりもするが、明らかに夜勤帯が8~9割くらい占めている。
その夜勤帯の9割ほど私が分娩係をやっているから、昼夜ともクリニックの中にいる私ってことになる。決して嫌ではないが、夜中のお産が2夜連続となると体力的に昼間の仕事がはかどらない。家に帰れない。そうなると、主人や子どもに家事の負担をかけることになるし、子どもとメールだけで連絡をとる日もある。疲労感は主人に100%ぶつけている。

こんな生活だから、平日に自宅でお昼を食べることがリフレッシュになった。
もしかすると、去年の夏、私が入院して自宅安静していた時以来かも・・。
今日は、子どもも行事の関係で学校が休みで自宅にいた。
午前中は、「お昼から事務作業をやりにクリニックに行こう」と計画していたが、明日に回すことにした。
だから、何ヶ月ぶりに、温かいうどんを食べた。
何ヶ月ぶりに、自宅でフラワーアレンジメントをやった。
何ヶ月ぶりに、夕飯までにブログを書くことが出来た。
今日は、寝付いたところの私を起こさないように出勤して行ってくれた主人を、夕飯が出来あがった状態で迎えられそうに思う。
まだ19時、夕飯に何を作ろうか、考えていないが・・。20時半頃の帰宅には間に合うだろう。
・・・・・でも、今夜もお産の方が来られるかもしれないな~
今、この瞬間にも、お産の方の入院があれば、私はクリニックへ行くことになる。
              よくあるパターンです(笑)(^o^)~☆
                       eri.hosoda

どう解釈すれば・・

2月半ばの夜診のとき、ある患者さまから
「今駐車場に車が止まっていて、ビデオカメラを回している男性が2~3人います。その車にバイクで近寄っていく男性がいていっしょにビデオを見てるんです。ちょっと怖くって・・・」
と連絡をもらった。
すぐ110番に電話しようと思ったけど、1度見に行ってから・・と思い、勇気あるスタッフの一人が白衣のまま駐車場へ向かってくれた。
すぐに帰ってきて
「不審な車のビデオを撮っている人は警察の方でした。五条通りを走る車の不審車両の追跡中だそうで、そのためにビデオとってたそうです。警察手帳見せてもらいました。」と。
状況は五条通りの不審車両をビデオで撮影するために、細田クリニックの駐車場に車をとめて、私服警官が張り込んでいたというわけだ。駐車場の持ち主が知らない間に無断で・・。
昨日も、他の患者さまから、2月の半ばくらいに不審なビデオを撮ってる怖い車が止まっていたんですが・・と同じ事を言われた。
「嫌な思いさせて申し訳ないです。あれは、警察の方だったのです。」
と事情を説明し謝っておいた。
実は、正月の朝早く、<細田クリニック>ときちんと書いてある駐車場にパトカーが1台止まっていた。主人と歩いて出勤中だったので、びっくり。私たちの知らない間に警察沙汰があったのか・・。血相を変え、50mほど先を見ると、接触事故でもあったのか、警官2~3人が現場検証をしている光景が見えた。その現場に近寄って、
「細田クリニックのものですが、クリニックに関係ある事故ですか?うちにパトカーが止められているので。」と聞いた。
「いえ、関係ないです。すいません。空いていたので勝手に止めてしまいました。移動させましょうか?」
と淡々と言われた。こちらも、動揺していて
「一言、連絡いただけたら「どうぞ、止めてください」と言えるので、無断で止めることはやめて欲しいです。」とだけ伝え、そのまま止めていただいた。
そのときも思った。
他人の駐車場に無断駐車は法律で禁じられているのに、警察の車両ならOKなのであろうか。
きちんと「無断駐車の方は罰金を頂きます」と明示してある。
年始の事故で、朝早くでもあり、五条通りも、さすがに車はほとんど通っておらず、現場検証のところでも充分車1台止められる状況であった。もし、クリニックに止めて現場検証するのなら、駐車場に書いてあるクリニックの電話番号に一報入れて欲しかった。
それから、ビデオ撮影も、2月の夜診の時間帯は薄暗い、しかも、産婦人科の駐車場で車の中から男性3人がビデオ撮影している光景は、怖い。嫌な思い、不審な思いをされた患者さまは何人もおられたでろう。
もし、私が110番していたら、駆けつけた警察の方は、どうされたでしょう。
止まっている不審な車両が警察の方ではなく、一般の方だったら、即、取り調べになっていただろうに・・。
法律ではいけないことでも、警察手帳を見せれば許されるのだろうか。
人間不信になりそうな出来事だ。
               eri.hosoda


感動

映画を見て感動・・、本を読んで感動・・、ということは誰でもあるだろう。
私たち助産師は、立会い分娩の中で、一般の人の味わったことのないたくさんのことを考え、感動する毎日である。
お産は不思議なもので、「きっと間に合わないよ」と言いながら、九州から駆けつけるお父さんを待ってたかのように生まれてくる場合もあったり、どうしても、仕事が抜けられず、携帯で「どう?うまれた?」とメールが届いたまさにその瞬間に生まれたり・・。
計算や医学では答えられない、不思議な現象がよくあり感動する。
それから、夫婦や家族の全く飾らないその瞬間に、私たち助産師や、看護師は立ち合わせてもらっている。
お産は恥ずかしいとか、かっこ悪いなんていっていられない。
血が怖いなんて、感じる隙もない。

最近の、2つのお産に笑い泣きをした。
お産をされたご主人と私たち夫婦は知り合いであった。
ご主人はいつも「ドン」と構えていて、社長さんという感じの方。(本当に社長さんですが・・)そのご主人が、生まれた瞬間、くちゃくちゃに泣いて、分娩台の奥さんと抱き合って大泣き。「生まれた、生まれた・・やった、やった・・。」と。
それを見て、こちらももらい泣き。
それから、もうひとつは、最近のお産で・・。
ファミリー教室でご夫婦といっしょに呼吸法を練習したので、初対面ではなかった。妊婦健診のときや、練習のときは、ジョーク連発のご主人。私の伝えたい指導内容は伝わったかな?と確認する間もないほど、ご主人のトークが印象的だった。
いざ、陣痛発来で、入院。ご主人は、私たち助産師より、陣痛が強くなってくる奥さんをうまくリード。うますぎる。
腰さすりはもちろん、呼吸法や言葉がけ、「赤ちゃんに酸素やらなあかんから力抜いて・・。」など・・。
そして、生まれたその瞬間、「やった!生まれた!」のガッツポーズ。
そして、奥さんに「ありがとうな。」を連発。
これまた、普段と全く違うご主人であった。
というより、それが本当のご夫婦の姿であろう。
お産も10人十色。夫婦もいろんな形がある。
感動の場面に立ち会っている喜びは、学生の頃や助産師になりたての頃に味わった感動より深くなっていると思う。
それから、どの夫婦がいいとか、どの家族が正しいとかは、個々の価値観の問題であるから、答えはないが、いろんな夫婦のスタイルや家族のカラーをお産の数の分だけ見させていただいているように思う。
                                eri.hosoda






もう・・・秋!

外来には「妊娠しました」という方が次々来られる。
今日も、何気なく、「さて、この方の予定日は・・」と見てみると、なんともう、10月が予定日。
10月なんてまだまだ先、と思ってたのに・・。
この前まで、もう、ゴールデンウイークの予定日の妊婦さんが増えてきたね、という会話をしたはずだ。
春が来て、天神川の桜が満開になるのを見て、暑い暑いうだるような夏が来て、
半袖から長袖になり過ごしやすくなる秋を迎える頃に、分娩を迎える方々が今、初診で来られているのだ。
もちろん、4月生まれの私はさらにもうひとつ年をとっているし、ゴールデンウイークにはお休みが取れるかな~なんて、まだまだ先のことと、考えていたのに。
でも、よく考えたら、開院して1年2ヶ月。
去年の今頃生まれた赤ちゃんがもう、歩いている。
そして、クリニックで生まれた赤ちゃんがもうすぐ、お兄ちゃんになるファミリーもある。
月日は確実に進んでいるんだな、と思う。
そして、知らないうちに、ここで生まれた赤ちゃんが立派な大人になって、
「赤ちゃん生みにきました。」っていう事もあるのだろうか・・。
その頃、ヨボヨボ爺さん先生になっていないよう、フラフラ婆さん助産師にならないよう、毎日毎日いきいき、若くいようと思う。
                           eri.hosoda