月別アーカイブ: 2006年1月

次々と

明日オープン以来2組めの親子が退院される。
12月の第1号さんが女の子だったから、男の子第1号になる。
お産の入院は1週間。それはあっという間の1週間。私たち職員は不規則な交代性の仕事柄、1週間の入院のうち顔を合わせるのは2~3日間だ。
今回のお母さんはお産まで1日半かかったので入院期間としては9日間なのに、あっという間のような気がする。
すごく、いろんなことを教えてくれた親子で、単純に、すごく惚れてしまった。
お父さんもお母さんもどんなに、赤ちゃんを前にしてメロメロか・・・・。
特にお父さん。単身赴任で遠方からお産に駆けつけてくれていた。
陣痛の間中、呼吸法でお母さんをサポートされていた。お母さんよりうまい。
思わず、「お父さんもお産できそうですよね~」と声をかけてしまった。
お父さんとお母さんがいっしょに呼吸法をして、手を握り合ってがんばって、やっと生まれてきた。
生まれてきて、そこにいたみんなの第一声は「お父さん、そっくり!!!」だった。本当にそっくりだった。コピーしたみたいに・・・・。
そのあと、お父さんは大切に抱っこして、たくさんたくさん話しかけていた。
数日後のお父さんは、もっともっとわが子を愛していたし、もっともっと話しかけていた。そして、授乳や育児で疲れたお母さんを愛情たっぷり接しておられた。
わが子と妻を愛するのを惜しみなく表すお父さん。
そして、また、仕事のために遠方に帰っていかれた。
私たちにはすごくクールなお父さん。でも、家族3人で語る姿は、すごく自然でいやみがない。赤ちゃんを抱くお母さんをお父さんがキュッと後ろから支えていろいろ話しかけている姿を見て、私もいっしょにニコニコしてしまった。
どんな方法でも元気に生まれて、お父さんとお母さんに最大限に愛される事は一番幸せに思う。これこそ、自然分娩と言えるだろう。


そして、この数日中に4~5人の新しい親子に会えそうだ。
すごく楽しみで待ちどうしい。


                               eri.hosoda


毎日

この前ブログを書いたのが、12日いうことに気づいた。
2週間も経っているとはまったく気づかず、4~5日ブログ書いてないなあ、という感じでいた。
毎日何してたのだろう。
朝6時半に起きて、朝食の用意、洗濯、3つのお弁当を入れて、8時に家を出る。
朝は毎日のように脳貧血で意識を失いそうになるが、(いや、何度か失って気づいたらソファーに寝かされてたり)主人がたくさん手伝ってくれて出勤できる。
朝はあんなにしんどくって、手すりを持ちながら歩いているにも関わらず、クリニックに向かう道のり5分の小走りで、不思議なくらいシャキッとする。
さらに白衣に着替え、スタッフの「おはようございます」という声を聞くと、私の声もワントーン上がって「おはようございます」と言えている。
そして、外来や病棟を行ったり来たり、外からの業者や電話の対応、自分でも不思議なくらい脳細胞を使っている。それに、笑顔でできる。お産の方の入院があると、早く生まれてほしいなあ、と心底思うし、婦人科の方が外来に来られ、病気以外の事、たとえば会社のことや家族のことを話されると、外来中ということを忘れて聞き入ってしまう。
そして、あっという間にお昼。お弁当。昨日の残り物とチンした1品、気が向いたら卵焼き、そんなお弁当を主人は「おいしい」と言って食べてくれている。娘も同じころ学校でこれを食べているであろうが、お弁当に関しては何も文句言わず持っていってくれる。文句言って作ってもらえなかったら大変、と思っているのであろうが(^^)
午後も同じ。院内の私専用のピッチがひっきりなしに鳴り、業務手順を考えたり、指導用のパンフレットを作ったり。
あっという間に5時。スタッフとコーヒーをちょっと飲み(たまにはいろんな愚痴話を聞いてもらったり)、その後夜診のお手伝い。日によっては、そのまま夜の当直に入ることもある。昨日はそうであった。朝9時に当直を終え、残務がある分やり終えて帰宅。12時。眠くて、しんどくてベッドが私を呼んでいるが、今日のうちにまた、クリニックに行かなくてはいけない。夕飯の用意をしつつ、眠気と戦いながら、キッチンの横でブログを書く。
主人からは「寝るように」というメールの指令が今来た。予想どうり。
でも、こんなに、ハードであっという間に過ぎていく毎日が、誰のためか、何のためか・・・・。
生まれてくる赤ちゃん、お母さん、外来にきてくださる方々、のためなのであろう。
楽をしようと思ったらどんどん楽ができる。そうなる自分が現れたら、自分がいやになりそうだ。
きれいごとではなく、心からそう思えるこんな自分は今までなかったように思える。ちょっとは、クリニックの中で成長させてもらってるのであろうか。
・・・・・肉じゃがを煮込む間、日々を振り返るブログでした・・・・・
                     ERI,HOSODA

キッズコーナー

クリニックの端に2~3畳ほどのキッズコーナーがある。
言葉の通り、子供の集まるところ・・・・。
産婦人科には、第一子を連れた妊娠中のお母さんはもちろん、それに付き添うお父さんの姿は当たり前のように見受けられる。
もうすぐ、お兄ちゃん、お姉ちゃんとなる子供たちであるが、クリニックに連れてこられることの意味は全く理解していないであろう。
外出先なのに、デパートのおもちゃ売り場でもなく、お友達の家でもないところで、ままごとセットで遊べて、アンパンマンのDVDを見て・・・・。決していやなところではないらしい。
その子供たちと、数分でも過ごすのが、すごく心地よい。
今日のできごと。
妊婦さんに連れられてこられた(多分)3~4歳くらいの男の子との過ごした時間を思い出す。木で作られた野菜や果物、ケーキ、そして、お皿、包丁のキッチンセットを手に取り、
男の子・・「ねえ、今日は僕がご飯作って上げるね。何がいい?」
私・・・・・・「ん~、昨日ハンバーグ食べたから今日は、どんぶりがいいかな?」
男の子・・「ご飯じゃないよ~。おかずだよ。」
するどい指摘に、もっともだ!と真剣に納得した。
私・・・・・・「じゃあ、おでんにしてちょうだい。」
男の子・・「おでん?今日は無理。ケーキにします。」
まだまだ子供だ。
私・・・・・・「ケーキ大好きだからうれしいな。そっちの大きい方をちょうだいね。」
男の子・・「だめ。大きい方はお父さんのだから。」
この子は絶対すてきな両親に育てられてるのだろう。そして、いいお父さんになるだろうな。    


こんなひと時が大好きだ。無意識のうちに子供と同じになっている自分が照れくさくもあり、でも、心地よく疲れが吹っ飛ぶ。


そして、会計を終え戻ってこられたお母さん。
      「おまたせ、お姉ちゃんとあそんでもらってたの、よかったね。」
お姉ちゃん?久しぶりにお姉ちゃんって呼んでもらった。お母さんもいい人なんだ(笑)         


自分の靴を見つけて、帰り支度を始めた男の子と傍らでジャンパーを着せているお母さんにしばらく手を振った。すごく、いい母と子。そして、もうすぐ生まれてくる子はこんなに惚れてしまうお兄ちゃんがきょうだいでラッキーだよねえ、となんとなくまだ見ぬ赤ちゃんの顔が浮かび、感じた。

こんな、キッズコーナーが大好きだ。充分、大人の私も遊べるコーナーだ。

生きていること

新年早々聞きたくない事件をいくつか聞く。
私は無宗教で、勝手のいい時だけ「神様お願いします」とか、盆正月だけ、仏様の前に座り、元気で過ごせますように、いいことがありますように、とお参りする。
数日前、火事で幼い子供たちが亡くなった記事を目にした。この冬の大雪で事故があり犠牲になられた方があると報道されている。
人間は生きているから、いつかは消えてなくなってしまう。でも、人の寿命がそんなに短いはずがない。自分の寿命を自分で断ち切る人は論外であるが、亡くなった子供たちは次の楽しみを絶対思い描いていただろう。宿題のことを気にしていただろう。お年玉を楽しみにしまっていただろう。なのに、なぜ亡くなってしまったのだろうか。なぜその子達なんだろうか。寿命だけでは片付けられない。
今まで数え切れないほどのお産に立ち会ってきて、産まれてきてよかったね~といつも思える。がんばって産まれてきたね~と声かける。そして、家族の思いを込めて、名前が決められ、育てられていく。その瞬間その子の寿命は決まってないはずである。
火事で亡くなった子供たち、雪で事故を起こして亡くなった人たちも無意識に生きていた中で亡くなられたのであろう。私も生きていく事を無意識に過ごしている。主人に文句をぶつけたり、子供たちを怒ったり、眠いと機嫌悪くなり、おいしいケーキ1つで上機嫌になったり。
でも、今思う。感謝して生きなきゃ、って。何気ない生活の中で亡くなった人たちはどんなに悔しくって、悲しくって、生きたくって仕方なかっただろうか。
生きてたら、辛い事やいやな事もたくさんあるけど、それ以上に、いろんな人と出会えただろうに、もっと楽しい事あっただろうに、もっともっといい事あっただろうに。
この思いは、おなかの中にいる赤ちゃんや今まさに生まれようとしている赤ちゃんに思いっきり伝えたい。ずっとず~っと、生きていくために産まれてきたんだから、誰よりも長く生きて、誰よりも幸せになるんだからね、と。
今、新生児連れ去り事件のニュースを見ながら、「無事でいるように・・」と心から念じながら・・・・・生きていることのありがたさを思ってみた。
                                Eri.Hosoda


元旦

2006年1月1日
新年あけましておめでとうございます。
2005年は、たくさんの方に助けられた1年でした。開院して一ヶ月、たくさんの方とお会いすることができました。いろんな症状で来られた方とお話をし、妊娠を確認しに来られた方とお話をしました。そして、細田クリニック第一号の出産をされ新しい命と出会えたこと、すべて、私たちの生きていく中で大切な時間を与えてくださったと思っています。
私たちは産婦人科医、助産師である前に、何年たっても、まだまだ、未熟な人間であることを常に忘れないように心がけています。来られる患者様や妊婦様より、産婦人科に関する知識を多く持っているだけ。来られる方々の方が、うんと人生経験があり、私たちの知らない世界を経験されている方ばかり。その人の病気、その人の妊娠だけを見させていただくのではなく、その方々と接することを大切にしていこうと思います。
ありきたりの言葉で、具体的ではないですが、「がんばっていこう」と決意します。
さらに、今から1年後の2007年の元旦を迎える時に、どんな、抱負が言えるのか、未知の世界ですが、すごく楽しみになるようにがんばっていこうと思います。今年もよろしくお願いします。


                          Eri.Hosoda