細田クリニックのひとりごと

国より・・

昨夜、TBSで「いのちの輝きスペシャル」番組をやっていました。
不妊治療でやっと授かった命、染色体異常を背負いながらの命、戦場での命・・・。
いろんな命とその家族をドキュメントでまとめられていました。
さすが、テレビです。
きれいに、感動するように、まとめられています。
でも、現実は、どうなんでしょうか?
もっと苦しくて、悔しくて、悲しくて、という場面、思いもあるはずだと思います。
18トリソミーのお子さんを出産された方のお話しの中で
「どうせ続かない命なんだから、情が移らないうちに亡くなった方が、この子も楽だし、私たち家族も楽では?と思うことがありました」とおっしゃってました。
その発言をテレビ局は、カットせずに放送したことは、一瞬でも同じ思いをされた方に勇気を与えたのではないかと思います。
この2時間番組。殆どのエピソードが、きれいにまとめられていて、広末涼子さんや最近出産した東尾理子さんが、上品に感動の涙を流されて、番組的には、視聴率は良かったのではないかな?と思います。
たくさん学ぶ内容がありました。しかし、この番組を見て、すべての、妊娠・出産・子育ても、きれいな感動のストーリーになるとは思い込まないで欲しいと思います。
少なくとも、私たち、産科に携わる者かつ女性は、複雑な思いで見ていた方もおられるのではないか、と思います。
中には、否定的に感じる場面も無きにしも非ず・・・。
現実を伝えることは、難しいものです。

数日前、日本周産期・新生児医学会のHPの中でアップされた記事があります。
http://www.jspnm.com/topics/data/.pdf
専門家が覗く、学会のHPの中ですが、内容は、一般の方向けの書き方。
たまたま、見つけたので、ここで紹介できますが、国が啓蒙するなら、もっと、新聞やニュースでアピールしないと目に付かないのでは?と思います。
女性に限らず、男性の性器もかかれており、不妊症や性感染症についても触れています。
未婚の方、学生さん、既婚の方、あらゆる方に読んでいただいて、「女性・妊娠・子育て」を考え、ライフプランを思い描いて欲しいと思います。
その中で、想像通りに生きていけるとは、言い切れません。
自分のライフプランを思い描くのは自由です。その上で、昨日のような番組を見ていろいろ感じ、さらにその上に、自分にもいろんなことが起こるかも、というところまで考えてみてください。考え方が変わるかもしれません。

(ただし、常に深く重く考えるのではなく、たまには、ふと考える・・・くらいで充分ですけどね・・。)
eri.hosoda