今日も夜中入院、朝のお産。
最近、この10日間、こんな日が5日間はあった。
夜中に起きて、自転車でクリニックに向かうときは、昼間とは違って心地よいものだ。眠気をこの1~2分の自転車こぎで取っ払う。白衣を着たら、昼間と同じ私になれる。私の得意技かも。
今日のお産の入院の方は、4時半に入院6時半にお産。
初産婦さん。
陣痛開始から、6時間半。入院時、まだ子宮口は半分も開いていなかった。
誰が考えても、すごく早い。
この方だけではない。今、入院中の初産婦さんの陣痛開始から分娩までの時間は、平均5時間強である。
これは、1度お産をされた経産婦さんでも早い方。
個々に見ると、Aさん6時間45分、Bさん1時間半、Cさん10時間、Dさん2時間40分、Eさん6時間25分、そして今日のお産の方6時間半。
初産婦さんの分娩時間は、いろいろな文献で調べても12時間から14時間、物によっては24時間と書いてあるのもある。
分娩時間が短いと、痛い時間が短いということ。誰でも痛い時間は短いにこしたことはない。
分娩時間が短いと、体力も精神的にも回復力が早く、育児(特に授乳)に関してスムーズにスタートを切れる。
それから、赤ちゃんにとっても、産道を通るという人生の中で一番つらい試練、ストレスが、短い方が良いに決まっている。
時間が短いから、落ち着いてお産できる。パニックのお産はほとんど皆無。
なぜ、早いのか・・。落ち着いたお産ができるのか・・。
何も特別なことをやってはいない。
とにかく、歩いてね・・という約束を守ってもらっていること。
体重管理をしっかりしてもらっていること。
それくらいかな。
でも、それを信じて歩いておられる方、体重管理がしっかりできている方は、やはり、自分でいいお産をしよう、つまり、赤ちゃんの命は自分で守ろうというお産を前向きに捕らえておられる方だ。
どんなに、がんばって歩いていても、体重コントロールしていても、お産はいつどんなときにも、危険とは背中合わせ。かといって、危険や不安だけを前に出すのではなく、常に前向きであって欲しい。いいお産のイメージを持つこと。たとえ帝王切開であろうと同じ。それが、自分がするお産であろう。私たちスタッフは、その援助をするプロフェッショナルだが、代わりに生んであげられるわけではない。
こんなに暑い毎日なのに、時間を見計らって、場所を見つけて、数時間は歩いておられる。歩けない日は、家中の雑巾がけをしたり・・・。大多数のお母さんはがんばっておられる。帝王切開の決まっているお母さんも体重コントロールはかかせないからがんばっておられる。
(そういえば、一昔前は、歩いてね!とあえて言わなくても、必然的に動いていたのであろう。掃除も這いつくばって雑巾がけ、クイックルワイパーなんてなかったはず。買い物もスーパー1件で済ませるのではなく、商店街の八百屋に行き、魚屋に行き、と、足で移動していたはず)
時代が変わったのだから、歩いてね!と意識付けしていくことは必要なのであろう。
・・・歩く。
・・・体重コントロール。
それが何よりの安産の近道、赤ちゃんへのストレスを最小限にできる親の役目。だと思う。
今日のお母さん、生んだ直後に、
「入院して2時間や。早~い。本間にまじに毎日歩いてたからな~。」と。
そして、生まれた瞬間、分娩台の横では、お母さんのタオルを取り上げて、あふれる涙を拭き、声になりそうな泣き笑いをこらえるお父さん。
スタッフも心から「おめでとう、がんばったね。」と言える。
おばあちゃんは、入院した、と聞き、クリニックに向かっているその間にお産。「私、2日間かかったんですよ・・。この子はなんと早い事・・」とびっくり。
こんないいお産ができたのは、お母さんのこの10ヶ月のがんばり。
それに応えて、上手に出てきてくれた赤ちゃんのがんばり。そして、ずっと、お母さんをリードしていたお父さんのがんばり。
いつも、こんなお産の風景をみていると、世の中のいろいろな怖い事件はどこの世界の話か?と思ってしまうほど、ほのぼのだ。
eri.hosoda