細田クリニックのひとりごと

感動

映画を見て感動・・、本を読んで感動・・、ということは誰でもあるだろう。
私たち助産師は、立会い分娩の中で、一般の人の味わったことのないたくさんのことを考え、感動する毎日である。
お産は不思議なもので、「きっと間に合わないよ」と言いながら、九州から駆けつけるお父さんを待ってたかのように生まれてくる場合もあったり、どうしても、仕事が抜けられず、携帯で「どう?うまれた?」とメールが届いたまさにその瞬間に生まれたり・・。
計算や医学では答えられない、不思議な現象がよくあり感動する。
それから、夫婦や家族の全く飾らないその瞬間に、私たち助産師や、看護師は立ち合わせてもらっている。
お産は恥ずかしいとか、かっこ悪いなんていっていられない。
血が怖いなんて、感じる隙もない。

最近の、2つのお産に笑い泣きをした。
お産をされたご主人と私たち夫婦は知り合いであった。
ご主人はいつも「ドン」と構えていて、社長さんという感じの方。(本当に社長さんですが・・)そのご主人が、生まれた瞬間、くちゃくちゃに泣いて、分娩台の奥さんと抱き合って大泣き。「生まれた、生まれた・・やった、やった・・。」と。
それを見て、こちらももらい泣き。
それから、もうひとつは、最近のお産で・・。
ファミリー教室でご夫婦といっしょに呼吸法を練習したので、初対面ではなかった。妊婦健診のときや、練習のときは、ジョーク連発のご主人。私の伝えたい指導内容は伝わったかな?と確認する間もないほど、ご主人のトークが印象的だった。
いざ、陣痛発来で、入院。ご主人は、私たち助産師より、陣痛が強くなってくる奥さんをうまくリード。うますぎる。
腰さすりはもちろん、呼吸法や言葉がけ、「赤ちゃんに酸素やらなあかんから力抜いて・・。」など・・。
そして、生まれたその瞬間、「やった!生まれた!」のガッツポーズ。
そして、奥さんに「ありがとうな。」を連発。
これまた、普段と全く違うご主人であった。
というより、それが本当のご夫婦の姿であろう。
お産も10人十色。夫婦もいろんな形がある。
感動の場面に立ち会っている喜びは、学生の頃や助産師になりたての頃に味わった感動より深くなっていると思う。
それから、どの夫婦がいいとか、どの家族が正しいとかは、個々の価値観の問題であるから、答えはないが、いろんな夫婦のスタイルや家族のカラーをお産の数の分だけ見させていただいているように思う。
                                eri.hosoda