以前のブログでも触れたが、毎日の妊婦健診では家族連れが多い。
最近、夏休みも重なって、はじめまして・・というお父さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんも多い。
昭和の初期は、自宅分娩が多かった。家族で新しい赤ちゃんを迎えて、家の一大イベントをみんなで迎えていた。
陣痛が来れば、助産師が駆けつけてくるというパターンだ。
今の時代、ほとんどが施設内でお産、というのが主流。
お産というのは本来命がけの仕事。命がけであるからこそ、何がおこってもおかしくない、というのがお産である。今の日本医療は母子の命を救う確率は世界の中でもよくなっている。いろんな検査で早期発見ができている。
しかし、昭和初期のように、家族みんなで・・という思いは崩したくない。
今、外来に来られる妊婦健診のお母さんは、お父さんといっしょ、上のお子さんといっしょ、という方が多いことはいいことなのであろう。
お母さんが診察の着替えをしている間、お父さんと院長が話しをしている。
超音波の画面を見ながら、3才や4才のお兄ちゃん、お姉ちゃんは指差して赤ちゃん見えた・・と看護師に話ししている。
毎回お母さんとやってくるお兄ちゃんやお姉ちゃんは超音波の次はお母さんと先生の話と知っているから、お母さんより先に大きないすに座り院長を先取りしてしゃべりかけている。
おばあちゃんは「私の頃は生まれる前から性別なんてわかりませんでしたよ」と超音波に夢中になっておられる。
さすがにおじいちゃんはあまり見かけないが・・。
お産も立会いが増えている。小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんは泣きながらお母さんを応援し、2、3才のお兄ちゃんお姉ちゃんはお産の緊張感をお父さんに抱かれながら感じている。
お産に立ち会うか立ち会わないか、時間があるからいっしょに妊婦健診に行こうかという気持ち、それは夫婦、家族のことであり、絶対立会いがいいですよとか、仕事休みならいっしょに来ないと・・と強制はしない。立ち会わないから、ダメではない。お父さんだって家でゆっくりもしたい。
でも、家族みんなで赤ちゃんを迎えるというひとつの過程であるし、そう何回もない体験。マイナスにはならないと思う。
先日、一人のスタッフがスーパーで買い物をしていたら、後ろから「○○さん、お久しぶりです。こんなに大きくなりましたよ」と声をかけられたそうだ。それは、赤ちゃんといっしょにいるお父さんの声だったそうだ。お産に携わったスタッフをしっかり覚えていてくださったということは、そのときのお産がお母さんだけでなくお父さんもいっしょに生んだ(・・までは行かなくても十分参加した)という雰囲気だったんだ、と思う。
医療が発達していく中でも、決して忘れてはいけない「家族」。
こどもに親が殺される世の中。でも家族という仲間を生まれてくるその瞬間、お腹の中にいるそのときから大切していれば、親殺しはなくなると思う。
eri.hosoda