年別アーカイブ: 2006年

事件

どの新聞のトップも、今日は小学1年生男児殺人の容疑者逮捕の記事が出ていた。
想像もできない人間関係。
まだ、ほんの一部しか明らかになっていないが、殺された男児の2軒となりのおばちゃんが、しかも、わが子を亡くしたばかりの母親が、男児の殺人に何らかの形で、携わっていたらしい。
わけがわからない世の中になってきた。
ことわざで
「遠い親戚より近くの他人」
と言われるくらい、いざという時は近くにいてくれる友人知人が助けになると信じていた。実際そう感じる事はたくさんある。
体調を崩したとき、子供の学校のことでわからないとき、おいしい食べ物をいただいたとき、やはり、遠い実家の母親より、日々顔を合わせる友人たちが話しを聞いてくれたり、手を貸してくれたり、お裾分けしたり・・・。
でも、こんな私の今ある環境とは裏腹に、同じ町内の中の人同士で、人を殺められることが実際にあったわけだ。
クリニックでは、患者さまや妊婦さまが来院された最初の頃に、「家族で大きな病気の方はありませんか?」と聞く。
今はまだ、「祖父が、胃ガンです」とか、「母が糖尿病です」と普通の答えが返ってくる。でも、今生まれてくる子供たちが大人になったとき、もっと複雑な世になって、列車事故や飛行機事故も増えて、無差別殺人なんかも増えてしまって、
「父は、脳出血で、母は、通り魔に殺されました」とか、
「父は殺され、母は列車事故で亡くなりました。」
なんて会話が当たり前になりはしないだろうか。
そんな世の中にならないように私たち大人は真剣に考えないといけないのだが、はたして、どうしたらいいのだろうかは、わからない。
今生まれてくる子供たちを育てるだけでなく、人としていい人間になってくれること、そして、いい環境を作ってやること、当たり前のことだし、生まれたばかりの赤ちゃんを目の前にすると大人は決意することであろう。逮捕された容疑者も1度は思ったであろう。
人として生まれたのに、人を殺めたり、ましては、自分を殺したり(自殺)したりしないよう精一杯生きることという、生きる基本を身を挺して教えていかないといけない世の中になったのであろうか。
悲しい。今、何も知らず生まれてきた子供たちを、そして、一生懸命生んでくれた父母を決して悲しませたくない。
                eri.hosoda

体重管理

妊婦健診のたびに、言われること。
それは、体重を増やさないで、ということだ。
妊婦健診を受けておられる方や、お産をされた方はよく知っておられることであろう。
でも、私たちの親世代より上の方は
「おなかに赤ちゃんがいるのだから、二人分食べないとね」
と言われる。結構、多く聞かれる。
でも、それは、間違い。大きな間違い。
太りすぎにより、余分な脂肪がつき、赤ちゃんの出る産道を狭くする。つまり、難産。難産は赤ちゃんにとって最大のストレスだ。
また、体重を増やしてしまうことにより、母体のあちこち、心臓や腎臓にもストレスが加わる。
すると、血圧も高くなり、腎臓の働きも悪くなる。そうなれば、赤ちゃんの成長だけでなくお母さんの命にも関係してくる。

昭和の戦前、戦後は食べ物が貧食だった。
その頃は、少しでも、妊娠中の母親に食べ物を食べさせるために、そう言ったのであろう。しかも、今の時代のように、中華やイタリアンなどのように高カロリーな物はない。食べたとしてもしれているのであろう。
さらに、掃除1つにしてもほうきで掃いて、雑巾で床拭きをしていたであろう。今では掃除機で簡単に、時には、クイックルワイパーでスーと終わらせる。
テレビ1つにしても今のように座ったままリモコン1つでONOFFなんてありえない。つけたり消したり、チャンネルを変えたり、全部テレビそのもののスイッチやチャンネルを触りに行かなければならなかった。
洗濯も、台所でも、あらゆることが便利になり、体を動かさなくなっている。
ということは、現代はカロリーは消費しなくなっている。その上に、手軽にマクドに行けたり、24時間食べ物が買えるコンビニが近くにあったり。
そんな環境で
「安産のために、赤ちゃんとお母さんの命を守るために体重管理しましょう」
といっても難しい。妊娠したから昭和の時代に戻りましょう、なんて無理な話。
どうすればいいのだろか、永遠の課題かもしれない。
今日も一人の妊婦の方の妊婦相談を行った。
その方も、明らかに実家へ帰ると、体重が増えてしまう、どうしても、動く量が減り、食べる量が増える、という結果。
わかっているんですけどね・・ということであった。
もし、これを読まれたおばあちゃんおじいちゃんの世代の方、また「妊婦の食べすぎはいけないのか~」と初めて思われた方、これからは「赤ちゃんの分も、二人分食べないと・・・」という言葉は忘れて欲しい。
それが、安産となり、元気な赤ちゃんの誕生に結びつくのだ。
安産の神社でもらうお守りより、何より安産に結びつくと思う。
                            eri.hosoda




ただのおじさん

今日の朝の出来事。
徒歩で、たった4~5分の距離の自宅とクリニックの光景は、ほぼ同じ時間に家を出るせいかあまり変わり映えはしない。
今日も、小学生の集団登校と小さな信号もない交差点ですれ違った。
15人くらいの集団だっただろうか。
その中の女の子の一人が、大きな大きな声で
「あ~~、あの人、病院の先生や~」・・・と。
すると「ほんまや~。病院の先生や。」
と、他の子が私たちの方を向いて叫んだ。 
びっくりした。白衣も着てないし、よりによって、今日の服装は、おじさんそのもの。
なんでわかるのだろうか。私は、主人の代わりに、後ろを振り向いて、その子たちに手を振った。その叫んでくれた女の子は、傘を持ったまま、両手で降り返してくれた。
すると、集団登校の半分くらいの子供たちまでが、手を振ってくれた。
この、15人くらいの集団登校の子供たちの中に、少なくとも2人はクリニックに来たことがあるのだろう。どこにでもいるおじさんを見て、「先生や」と声を大にして叫ぶのだから、顔を覚えているのだろうか。
他の子供たちは知らないはず。一般的に子供たちは、お医者さんと言えば怖いイメージだろうに、病院の先生、と知って、手を振ってくれるなんて驚くべきこと。
ふと、そのとき、以前ドラマであった「ドクターコトー」を思い出した。
顔を知られてるって。
ドクターコトーのように、自転車で、黒いかばんを持って島の中を回る、とか、この地域一人のドクター、ってことでもない。たしかに、うちのクリニックは、子供連れの方が多い。でも、街の中で声をかけられるとは・・・・。しかも、小学生に。
うれしい。反面、変な格好してられないなって思った。どこでも、見られている。
クリニックにくる子供たちは、おそらく、主人をドクターと見ていないことが多い。
おそらく、お母さんと話しをする「おじさん」と思っているのだろう。
その証拠に、妊婦健診にいつも楽しみに着いてきていた、Rくん。
お母さんは四国の実家に里帰りされるため、当クリニックでの診察は終わったが、その、最終の日に私はRくんに
「また帰ってきたら顔見せてね。」と話しかけた。
そしたら、耳元で
「うん、絶対来るから。だってな、『もじゃもじゃマン』をやっつけないとな」
と言って帰った。
『もじゃもじゃマン』とは、主人のこと。以前、主人は手が空いた時間にRくんと怪獣ごっこのようなことをしていたら、髪の毛が天然で、クルクルしてるから、勝手にそう呼ばれるようになったのだ。
お母さんといつも話すおじさんは、Rくんにとっては、遊んでくれる、もじゃもじゃマンおじさんなんだろう。
怖いお医者さん、より、何だか白衣を着たおじさん。決して、子供たちにとっては、医療を受けにきているわけではないのだから、それで当然の表現なのだ。
                           eri.hosoda

バカにできないトイレットペーパー

毎日クリニックの中はめまぐるしく動いている。
人はもちろん、物も動いている。
特に患者様に直接触れられるものには、セクレタリー(日本語で言うなら、患者様のお世話係)が、慎重に気を使ってくれている。
その中でトイレットペーパー。
産婦人科では、トイレは大切な場所。
トイレットペーパーは何社くらい試しただろうか。
基準は、使いやすさ。つまり、肌触り。
プラス、値段である。
高い物なら、もちろん、肌触りもよく、使いやすい。
でも、消費量が並ではない。日々減っていく。基本的に、患者様が使うトイレットペーパーは、3分の1くらいになっていたら、新しい物に交換する。なぜなら、使ってる最中に、カラの芯をはずし、戸棚に手を伸ばし新しい物を取り、トイレットペーパーの最初の口を捜すのにトイレットペーパーを一周させて眺める。なんて、何だかむなしい。(家庭のトイレならともかく・・・)
その残りのトイレットペーパーは、職員用トイレでちゃんと役目を終えている。
半年経って、値段もほどほど、使い心地もOKというトイレットペーパーをやっとみつけられた。 でもこれから先も常に探求しなくてはならない。
他には・・・・。
シャワー室に置いてある、シャンプーとトリートメント。
よく温泉などで置いてあるシャンプーを使ったら、次の日、大変な目にあった方もあるだろう。ブラシが通らないほどゴワゴワ。
だから、自分のシャンプーとリンスを持って温泉に、という時もある。
そんなことのないように、クリニックでは、(というより私のこだわりであるけど)
美容室で気に入ったちょっといい物を使おうと考えている。
今出しているものは2クール使った。それも、気に入っているのだが、次からは、もっとお気に入りの自然なシャンプーとトリートメント。知り合いの美容室にお願いして、手に入らない物を安価で分けて頂いた。
入院された方、「これがそうか」と思い出して、試してみてください。夏くらいには、登場させようと思う。
                eri.hosoda

癌検診

婦人科の癌検診は行きにくいもの。
内診台を知っていらっしゃる方は、内診台に上がるのが嫌でついつい行くことをためらってしまう。
でも、ほんの1分ほどのこと。癌検診そのものは、極端な表現をすれば、30秒もかからない。
それで、子宮癌の早期発見ができるのだ。
今の時代、癌は早期発見で命を救うことができる。治療がうまくいけば、完治も望める。
幸い、というか、いい風に考えたら、子宮は外からでも見える臓器で、直接目で見て直接細胞の検診ができるのだ。出血という症状もすぐに確認できる。もちろん自分でも自覚できる。
一番、早期発見できるのではないかなあと思う。
他のからだの検診も、積極的に受けて欲しい。
職場の検診、人間ドック、ほんのちょっとした検診で、全く自覚症状がない段階で発見されれば本当にラッキーである。
外来には毎日何人もの癌検診希望の方がこられる。
全く自覚がないが、1年に1回検診を受けると決めておられる方、
気になる出血があって・・・という方、
30歳の方、50歳の方、
親子で来られている方、ご近所さんと一緒に来られている方、
さまざまである。
どんな形でもいい。うちのクリニックは産婦人科だから、子宮と卵巣しか診察できないが、せめて、このブログを見られて、1回も婦人科の癌検診を受けておられない方、人間ドックを受けたことのない方、行きやすいところで検診を受けて欲しいと思う。
なぜ、癌検診のことを思ったか・・・。
それは、2年前の5月、親友だった友人を癌で亡くした。癌についてたくさん話したことを思い出す。
その彼女は
「健康が何より一番幸せなんやな」と言っていた。
彼女の命日を思うと、健康でいなければ、と思う。
そのひとつに、癌検診。
彼女もそう思っているだろう。
                       eri.hosoda