年別アーカイブ: 2006年

家族

以前のブログでも触れたが、毎日の妊婦健診では家族連れが多い。
最近、夏休みも重なって、はじめまして・・というお父さんやお兄ちゃん、お姉ちゃんも多い。
昭和の初期は、自宅分娩が多かった。家族で新しい赤ちゃんを迎えて、家の一大イベントをみんなで迎えていた。
陣痛が来れば、助産師が駆けつけてくるというパターンだ。
今の時代、ほとんどが施設内でお産、というのが主流。
お産というのは本来命がけの仕事。命がけであるからこそ、何がおこってもおかしくない、というのがお産である。今の日本医療は母子の命を救う確率は世界の中でもよくなっている。いろんな検査で早期発見ができている。
しかし、昭和初期のように、家族みんなで・・という思いは崩したくない。
今、外来に来られる妊婦健診のお母さんは、お父さんといっしょ、上のお子さんといっしょ、という方が多いことはいいことなのであろう。
お母さんが診察の着替えをしている間、お父さんと院長が話しをしている。
超音波の画面を見ながら、3才や4才のお兄ちゃん、お姉ちゃんは指差して赤ちゃん見えた・・と看護師に話ししている。
毎回お母さんとやってくるお兄ちゃんやお姉ちゃんは超音波の次はお母さんと先生の話と知っているから、お母さんより先に大きないすに座り院長を先取りしてしゃべりかけている。
おばあちゃんは「私の頃は生まれる前から性別なんてわかりませんでしたよ」と超音波に夢中になっておられる。
さすがにおじいちゃんはあまり見かけないが・・。
お産も立会いが増えている。小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんは泣きながらお母さんを応援し、2、3才のお兄ちゃんお姉ちゃんはお産の緊張感をお父さんに抱かれながら感じている。
お産に立ち会うか立ち会わないか、時間があるからいっしょに妊婦健診に行こうかという気持ち、それは夫婦、家族のことであり、絶対立会いがいいですよとか、仕事休みならいっしょに来ないと・・と強制はしない。立ち会わないから、ダメではない。お父さんだって家でゆっくりもしたい。
でも、家族みんなで赤ちゃんを迎えるというひとつの過程であるし、そう何回もない体験。マイナスにはならないと思う。
先日、一人のスタッフがスーパーで買い物をしていたら、後ろから「○○さん、お久しぶりです。こんなに大きくなりましたよ」と声をかけられたそうだ。それは、赤ちゃんといっしょにいるお父さんの声だったそうだ。お産に携わったスタッフをしっかり覚えていてくださったということは、そのときのお産がお母さんだけでなくお父さんもいっしょに生んだ(・・までは行かなくても十分参加した)という雰囲気だったんだ、と思う。
医療が発達していく中でも、決して忘れてはいけない「家族」。
こどもに親が殺される世の中。でも家族という仲間を生まれてくるその瞬間、お腹の中にいるそのときから大切していれば、親殺しはなくなると思う。
                       eri.hosoda



 

1週間

1週間ぶりにパソコンを開く。ブログだけでなく、パソコンを開くのも1週間ぶり。
というのは、私が入院。
命がどうこうというわけではないので、たいしたことではないのだが、開業してから初めての入院であり、いろんなことを感じ、思い、反省し、そして、自分のクリニックの誇りも見つけた。
患者としてずっとベッドにいると、冷静に、医療スタッフや他の患者さんをそれぞれを第三者として見えてしまう。
看護師さん。みなさん私が医療関係者であることを知っておられたから、すごく接しにくかったであろうが、すごく、親切で、全く一般のおばちゃんとして会話してくれてうれしかった。
掃除の方も何人もいらっしゃたが、それぞれいろいろな対応で、カーテンのすそから、掃除機の柄だけを数十センチ入れるだけの掃除の方、「今、いいですか?しんどいときに掃除機かけてすいませんね。すぐおわりますから・・」と言ってくださる方、すごく、気分が違うな、と心底感じた。
そして、私より長く入院しておられる患者様、すごくスタッフを観察していらっしゃる。「今日の看護師さん、話しやすいねん。そやから信用できるねん。」「あの掃除のおねえちゃんのお風呂掃除すっきりしてきれいやわ。」「いつもご飯並べてくれる○○さん、いつも気さくでほっとするわ。休みだと、どうしたんかな?と思うね。」とか。
病院の中は、意識がないとか、痛くて苦しくて、という患者様ばかりではない。そんな患者様は人と人の会話とスタッフの行動が唯一の変化であり、言葉は悪いがマンネリ化している入院生活の中にいる自分に大きく影響するのだな、ということを痛感した。
そして、退院した私。やはり、入院は日常生活から離れてしまい、嫌だった。
それは、病気であり、もう嫌だ、という思いが強いが、お産の方には、「もう、嫌だ」と感じさせてしまったら、産婦人科として最悪。
婦人科の方も、手術でつらかったけど、ゆっくりくつろいで過ごせたな、と感じてもらえるようにしないといけない。
でも作り上げた演技のような会話や態度はすぐに見抜かれてしまうのも事実。

細田クリニックのスタッフは・・・。
その中の一人である私は、第三者で判断することは無理だが、入院してこられる患者様はきっと、スタッフ一人ひとりを評価していらっしゃることであろう。評価までいかなくても、いろんな印象を持って帰られることであろう。
恥ずかしくないスタッフ20人、去年の10月に100人近く応募があった中から選ばせていただいたスタッフ。演技ではなく、自然な笑顔とサービスで接することができると信じているし、自信もある。
院長は・・書類選考も面接もなしでスタッフの一員となったわけなので、(当たり前だが(・-・;)、その分、精一杯、安全で安心な責任ある医療を提供している・・・・。
                       eri.hosoda


びっくり!

つい先日、玄関の受付で、受付スタッフと話をしている親子が見えた。
「あ、○○さんだ。」
近づいて声をかけようと思ったが、何だか、ベビーカーに乗ってる赤ちゃんが違うように思う。
「ん?あんなに大きくないはず・・・。○○さんではないのかな?」
と思ったが、側まで行くと間違いもなく○○さん。
声をかけ、話しを聞くと、入院されている患者様とお友達でお見舞いに来たとのこと。
ベビーカーに目をやる。
もしかして・・・・。
「そうですよ~。こんなに大きくなりました。」
と言いながら、すぐにベビーカーから、降ろして抱っこさせてくれ、
「お世話になったよね。こんなに大きくなりましたよって。」と満面の笑顔で子供に語りかけてくれた。
ほんとに大きくなっている。
お母さんは、一ヶ月健診の頃とほとんど変わっていないのに、赤ちゃんは全く変わってしまい、成長している。首もしっかり据わっている。表情もある。
びっくりした。おっぱいだけのんでいた赤ちゃんが、もう、目をみてくれる。
赤ちゃんの雰囲気ではなくこどもの表情。
こんなに成長するんだ。すごい・・。かわいい・・。うれしい・・。
いろんな形容詞が頭にめぐった。
一生懸命おっぱいをあげているお母さんと赤ちゃん、退院する日のお母さんと赤ちゃん、一ヶ月健診のお母さんと赤ちゃん、その姿が印象深く覚えている。
人ってこんなに成長するんだ。当たり前だけど、すごく実感した。
何だか、すごくうれしくって、そのままギュッと抱いていたかった。
「何なの?このおばちゃん、何でこんなにきつく抱くの?」
きっと私の手に抱かれて、この子はそう思っていただろう。
                   eri.hosoda




四季

毎日、雨の日が続き、まさに、「梅雨」である。
洗濯物が乾かない、外を歩くと足元が濡れる、などなど嫌なことばかり。
梅雨が過ぎたら、今度は体温並みの気温の毎日が容赦なく続く。
それでも、昔に比べたら、四季を感じなくなった。
春が短い。秋も短い。
私たちが子供の頃は、もっとはっきり季節の変化を感じた。
だから、衣替えも意識してしっかりあったし、夏は半袖、冬はセーターは当たり前であった。
今では、夏も長袖を着る人が増えている。紫外線防止だけでなく、冷房がどこに行ってもかかっているからである。
冬も、デパートの中では汗をかくほど暖房されているし、家やマンションの構造も機密性が充実している。
こんなに、人間の生活が変化していく中でも、お産そのもの、人が生まれるということは、何も変わっていない。
でもはっきりと言えることは、生命の誕生そのものは何も変わっていないが、生まれてきた瞬間の取り巻く環境は、昭和の頃と今の時代とは全く違う。
クリニックの中は、24時間エアコンがかかっているし、初めて迎える今年の暑い夏もエアコンの中で過ごすだろう。
こうして、四季を感じることを忘れてしまうのではないだろうか。
暑さを感じるために、エアコンをやめるわけにもいかないし、現実問題、きき過ぎのエアコンの中では、長袖を羽織りたくもなる。
でも、考えが古くさいかもしれないが、今生まれてきた子供たちにも、四季を感じて欲しい。それは、体感温度だけではない。「季節感」というものだ。
それは、生まれてきた赤ちゃんの家族の役目。家庭での会話。
教えて欲しいこと、伝えて欲しいことがたくさん山のようにありそうだ。
                eri.hosoda



人と人

私のいきつけの美容室。
4~5年前から行きだし、今でもその美容室しか行っていない。
そこは、不思議な美容室なのだ。
いわゆる、散髪屋ではなく美容室なのに、男性客が他の美容室より多いこと。
それに、孫が高校生ってくらいのおばあさんも多い。かといって、普通のギャルもいる。茶髪にカラーリングしている大学生らしき人、縮毛矯正している主婦・・・・。
街のあちこちの美容室を覗いてみても、こんなに、いろんな人が来ている美容室は見たことがない。
別に超おしゃれな最新のお店ではない。(店長さん、ごめんなさい)
なのに、なぜ、いろんな人が集まってくるのか・・。
それは、人柄なのであろう。
店長さん(私はマスターと呼んでるが)は、本当にいろんな人と話ができる。
男の人とは、車の話し、サッカーの話し。
おばあさんには、どこどこのお店の何がおいしい、って話。
主婦の人には、どこの学校はどんな特色があるか、って話し。
今話題になってるニュースや話題など、本当にドラえもんのように湧き出てくる。
だから、人が集まるのだろう。
美容室や散髪屋なんて、一角曲がれば、絶対と言っていいくらい1軒はある。
なのに、その美容室に遠くからでも来られる理由、いろんな人が自然に来られる理由、それは、人と人なんであろう。
マスターとお客さんの関係が、切る人と切られる人だけではないような気がする。
マスターがそうであるから、スタッフのお姉さんもそうだ。
だから、私は、この美容室が大好きだ。
産婦人科のクリニックは、どんな人でも来てください・・・というわけにはいかない。
でも、その美容室の大好きなところはお手本にしたい。
そんな中、院長自ら学んできたこと。それは、クリニック待合にも男性向き雑誌を並べてみよう、ということ。
そして、その雑誌だけは、なぜか、院長自ら本屋へ行き、買出しをしている。
                        eri.hosoda