月別アーカイブ: 2013年4月

国より・・

昨夜、TBSで「いのちの輝きスペシャル」番組をやっていました。
不妊治療でやっと授かった命、染色体異常を背負いながらの命、戦場での命・・・。
いろんな命とその家族をドキュメントでまとめられていました。
さすが、テレビです。
きれいに、感動するように、まとめられています。
でも、現実は、どうなんでしょうか?
もっと苦しくて、悔しくて、悲しくて、という場面、思いもあるはずだと思います。
18トリソミーのお子さんを出産された方のお話しの中で
「どうせ続かない命なんだから、情が移らないうちに亡くなった方が、この子も楽だし、私たち家族も楽では?と思うことがありました」とおっしゃってました。
その発言をテレビ局は、カットせずに放送したことは、一瞬でも同じ思いをされた方に勇気を与えたのではないかと思います。
この2時間番組。殆どのエピソードが、きれいにまとめられていて、広末涼子さんや最近出産した東尾理子さんが、上品に感動の涙を流されて、番組的には、視聴率は良かったのではないかな?と思います。
たくさん学ぶ内容がありました。しかし、この番組を見て、すべての、妊娠・出産・子育ても、きれいな感動のストーリーになるとは思い込まないで欲しいと思います。
少なくとも、私たち、産科に携わる者かつ女性は、複雑な思いで見ていた方もおられるのではないか、と思います。
中には、否定的に感じる場面も無きにしも非ず・・・。
現実を伝えることは、難しいものです。

数日前、日本周産期・新生児医学会のHPの中でアップされた記事があります。
http://www.jspnm.com/topics/data/.pdf
専門家が覗く、学会のHPの中ですが、内容は、一般の方向けの書き方。
たまたま、見つけたので、ここで紹介できますが、国が啓蒙するなら、もっと、新聞やニュースでアピールしないと目に付かないのでは?と思います。
女性に限らず、男性の性器もかかれており、不妊症や性感染症についても触れています。
未婚の方、学生さん、既婚の方、あらゆる方に読んでいただいて、「女性・妊娠・子育て」を考え、ライフプランを思い描いて欲しいと思います。
その中で、想像通りに生きていけるとは、言い切れません。
自分のライフプランを思い描くのは自由です。その上で、昨日のような番組を見ていろいろ感じ、さらにその上に、自分にもいろんなことが起こるかも、というところまで考えてみてください。考え方が変わるかもしれません。

(ただし、常に深く重く考えるのではなく、たまには、ふと考える・・・くらいで充分ですけどね・・。)
eri.hosoda

ある1日

昨日、14日、知人を通じて、とある方のミニライブへ行って来ました。
知人の方は、クリニックを開業するに当たり、お世話になった方で、音楽家であり、会社経営者であり、母であり、日本を飛び回っていらっしゃる方。
その方の人脈から、今回のミニライブのお誘いを受けました。
その方も、チャゲ&飛鳥の飛鳥さんや、福山雅治さん、などなどと深いお知り合い関係。
そこから、の繋がりでしょう。
昨日のライブのメインは、井上艦さん。
井上艦(いのうえ・あきら)さんは、すごく有名な方です。
現在は、福山雅治さんの音楽プロデューサー・アレンジャー・プレーヤー、過去には、ピンクレディーや佐野元春さん、本田美奈子さん、杏里さん、などなど、だれが聞いても知っているアーチストの音楽監督、アレンジャーをなさっていました。何年か前、福山雅治さんのバックで、キーボードを奏でておられる姿をテレビで見たことがあります。
最近では、テレビ番組「泣くな、はらちゃん」(長瀬智也・主演)の音楽全般のプロデュース監督をされていらっしゃって、「僕の劇中歌サウンドトラックが、着うた1位になったんだよ!」と井上さん、語っておられました。

井上さんとお話したとき、「今井美樹がね・・」とか、「福山がさ・・」とか、「(アルフィーの)高見沢なんかさ・・」と、テレビの中の人のことを至近距離50cmの距離で語ってくださって、田舎者、ミーハーの私&院長は、ドキドキしてしまいました。
こんな井上さんが、小さなカフェで少人数のお客さんを前にライブをされたのです。
趣旨は、鳥の歌(http://thesongofbirds.com/)。
人間、生があったら死があります。産婦人科に携わる者は、そのスタートに立ち会う仕事ですが、
もちろん、院長も看護師も助産師も、神様でもないし、魔術も使えないし、占い師でもありません。
生まれてくる命の色、深さ、形、長さは、わかりません。単なるその命を迎える場面に立ち会う仕事。
でも、どんな命であっても、大切にしなくてはいけない、それは、産婦人科を通り越して、みんなが感じないといけないこと。そんな思いを鳥の歌(カザルス地方の民謡)を歌い、聞き、奏でることによって広めていこう・・というライブでした。
言葉では、難しいし、まだまだ井上さんが発せられていることを理解していないですし、理想を語るには、私なんて、みみっちい存在ですが、ライブの中で涙が自然にあふれ出て、どうしようもなく一人の人間としての無力さを感じました。
患者さまと私、患者様とスタッフ、患者さまと院長、スタッフと私、スタッフと院長、スタッフ同士、私と子供、私と院長、・・・・・など、言い出したら切がない繋がり。すべて、人・命あってのことです。

医療者でもなく、母でも妻でもなく、一人の人としていられたライブでした。
井上艦さん、本当にありがとうございました。
(補足・井上艦さん、ご存知でない方、ネットで検索してみてください。本当に有名な方ですよ。)
井上さん

天神川の桜並木が、絶好調です。
関東では、例年になく早く満開を迎えていたので、京都でも、まだかまだかと待っていたら、あっという間に満開です。
今日は、昼から曇ってきたので、明日写真に収めようと思っていたら、明日は雨かも・・という予想。
少々、写真写り、暗いですがスタッフといっしょに五条通りの橋の上から撮りました。
hidarimigi

並べてみると、滑稽ですが、左の写真が五条より北側です。右の写真が五条より南側です。
スカッと晴れていたら、天神川の水面にきれいに桜が写るのですが、残念。
よく見ると、満開ではなく、八分咲き九分咲きくらいのように思うので、明日あさっての雨模様でも、風さえなかったら、残っていてくれるかな・・と思います。
本当に、ダイナミックで、したたかで、でも、しおらしさもあって・・。
毎年、同じ景色ですが、何回見ても、きれい・・、すごい・・という感情は変わりません。
絶対何があっても、この桜並木は保存して欲しいです。
というのも、ある中京区の建物の敷地内角地に、それは立派な桜の木がありました。
1本だけですが、ブドウのようにたわわに桜が咲いていて、立ち止まりたくなるくらいきれいでした。
その敷地の建物が取り壊され、新たに違う建物が建つ予定になったのですが、その桜の木1本だけ、残されていました。そこを通勤路にしているスタッフと「さすがにあの桜は切れないよね・・」と話していた矢先、数日前、桜が咲く前に伐採されていました。
新しい建物を建てるにあたり、その桜が邪魔で、切ってしまう計画をされたのでしょうが・・。
すごく、ショックです。滅多に通らない細い道で、たった1本の桜の木ですが、残念でなりません。
どうにかして、残しておいて欲しかったなあ・・と切に思いました。
なんでもそうですが、あった物を無くすことは簡単です。でも、元に戻すことは容易ではありません。特に自然は戻すことは、不可能に近いと思います。
だから、厚かましいですけど(笑)、クリニックの庭のような桜並木。
ずっとずっと、残しておいて欲しいと思います。
何年も、何十年も・・。
eri.hosoda