細田クリニックのひとりごと

もうすぐ

あと何日間で建物の養生(工事中に建物を覆っている青いシート)が、はずされてしまう
と言うより、はずれる。やっと、誰から見ても、どこから見ても、堂々と建物として存在する。
なのに、なぜか「はずされてしまう」という、悲しい表現が1番に出てきた。
ある方とお話をしていたときに、
「もうすぐ周りのシートがはずれますね」
と言われた。本来はすごくうれしい事だし、待ち望んでいる事。
しかし、その時、外は音を立てるような大雨で、私は一瞬泣きそうになる感情で
(こんな大雨の日には、あの建物は雨にさらされてしまう)
と想像してしまった。その方に
「でも、大切に思いすぎてふところに入れて雨から守りたい心境です」
と、とっさに答えたのだ。
まだ、細田クリニックを象徴できる物は、建物しかない。
スターティングスタッフもまだ決定してない。医療器具も、家具もない。
もちろん、そこでお産して頂くお母さんや赤ちゃんも、笑顔をふりまいて下さる婦人科の方の存在も、ない。
そのすべてを受けさせて頂くため、細田クリニックをスタートさせるためには、この建物が不可欠な物である。まだ今は、細田クリニックと言える形は、主人「院長」と私、そして、建物だけなのだ。もうすぐ、スタッフも決定させて頂き、 11月には家具や医療器具などの搬入がある。そうなれば、細田クリニックはドンドン膨らんで行き、ドンドン温度が上がってきそうだ。建物を眺めて、あ~、細田クリニックだ~なんて考えている余裕などないだろう。大雨の日も気にならなくなるであろう。
しかし、最後まで私たちと逃げも隠れもしないだろうこの建物には、愛着を忘れないし、つらい事悲しい事があっても前に立って見上げれば、救ってくれるような気がする。


だから、シートがはずされた後、雨の日には、大きな傘を広げてやりたい、シートをかけてやりたい、と思うのであろう。でかい我が子のようである・・・。
                                        ERI.HOSODA