細田クリニックのひとりごと

また違う、うれしさ

先日、あるお産に立ち会いました。

10数年の友だち、正確には、私より一回り以上年下の後輩が出産しました。
彼女は4人目の出産で、2人目3人目も私が、そして、今回4人目も私の担当で産まれてきてくれました。
何カ月か前、「もし、陣痛始まった時、私がいなかったら、スタッフに任せるね。いい?」と伝えてあり、
本人からも「いいですよ。細田クリニックで2人産んでるから、他のスタッフさんもいい人ばっかりなの、知ってるし。」と言ってもらってました。
そう言われても、姉のような心境で気になって、久しぶりに前日にメールしました。
「変わりない?」と・・・。何だか、予感がしたのです。
返信は「変わりないです。まだみたい。」ということ。予感はずれたか・・と思いきや・・・。
それから、数時間後の明け方、彼女から電話がかかってきました。
「陣痛来たみたい・・。今から、行きますね。」
それから20分後クリニックに着いて、それから1時間半後、陣痛発来から2時間半くらいで、元気な元気な男の子、正式には四男くんが生まれてきてくれました。パパそっくりで、お兄ちゃんたちにも似ていて・・。
お腹にいるときから、男の子とわかっているものの、やっぱり、もう一回おちんちん、確認したりして。
笑顔いっぱい、素敵な、出産光景でした。
パパも仕事前で、しっかり立ち会ってくれました。
3番目のお兄ちゃんは、おばあちゃん家でお留守番でしたが、1番目1年生、2番目保育園のお兄ちゃんは、しっかりと立ち会ってくれました。
ママの落ち着いたお産も感動しましたが、違うスポットが、私の二つめの感動として映りました。
それは、1番目のお兄ちゃん。
ママがまだ余裕ある頃は、弟と二人でパパに絡んだり、椅子に座ったり乗ったり・・。
それが、ママが辛さピークになって来た頃、子どもたちの動きも口数も少なくなってきました。
そして、1番目のお兄ちゃんが・・・。
目には涙をいっぱいためているのです。
でも、必死で耐えている・・。弟の手前か、大人がたくさんいる手前か、がんばって、涙をこらえているのがわかります。
でも、ママの顔を必死で見つめています。
「ママの手、握ってあげてごらん。」と言っても、恥ずかしさともう一人弟が生まれるドキドキな気分で、手がママにまで出ません。前に手を出そうとするけど、その手は止まってしまいます。
やっとの思いでママの手に、自分の右手を添えるけど、ママの辛さが余計に伝わってくるのか、すぐに自分の背中に戻してしまう右手。
左手はパパの手を、右手は時々溢れそうになる涙を拭きとり、しかも、誰にもわからないように・・。
そんな、けなげなお兄ちゃんを私は、しっかり見ていました。
ママはもちろん、パパも子どもたちの様子を観察するどころではありません。
まだまだ、子ども、と思っていても、しっかり、お兄ちゃんになっていました。
いい子に育ってました。やさしい長男に育ってました。感受性たっぷりの男の子に育っていました。
パパとママの日常が、しっかり、映し出されていました。
お産で見える家族の色。
こんな身近な友だちで、家族みんな知っているけど、それでも、やはり感動します。

お産は、血や傷や命だけでなく、その後ろにある家族の色も見えてきます。
その家族の色が見えても、直接、医療に影響することではありませんが、少なくとも、心がドキンとする、そんな家族の色が見えると、私を始めスタッフみんな、次もがんばろう、忙しい日もがんばろう、と思えます。
それを改めて感じさせてくれました。
N美ちゃん、心を晴れさせてくれるお産でありがとう。
eri.hosoda