細田クリニックのひとりごと

ただのおじさん

今日の朝の出来事。
徒歩で、たった4~5分の距離の自宅とクリニックの光景は、ほぼ同じ時間に家を出るせいかあまり変わり映えはしない。
今日も、小学生の集団登校と小さな信号もない交差点ですれ違った。
15人くらいの集団だっただろうか。
その中の女の子の一人が、大きな大きな声で
「あ~~、あの人、病院の先生や~」・・・と。
すると「ほんまや~。病院の先生や。」
と、他の子が私たちの方を向いて叫んだ。 
びっくりした。白衣も着てないし、よりによって、今日の服装は、おじさんそのもの。
なんでわかるのだろうか。私は、主人の代わりに、後ろを振り向いて、その子たちに手を振った。その叫んでくれた女の子は、傘を持ったまま、両手で降り返してくれた。
すると、集団登校の半分くらいの子供たちまでが、手を振ってくれた。
この、15人くらいの集団登校の子供たちの中に、少なくとも2人はクリニックに来たことがあるのだろう。どこにでもいるおじさんを見て、「先生や」と声を大にして叫ぶのだから、顔を覚えているのだろうか。
他の子供たちは知らないはず。一般的に子供たちは、お医者さんと言えば怖いイメージだろうに、病院の先生、と知って、手を振ってくれるなんて驚くべきこと。
ふと、そのとき、以前ドラマであった「ドクターコトー」を思い出した。
顔を知られてるって。
ドクターコトーのように、自転車で、黒いかばんを持って島の中を回る、とか、この地域一人のドクター、ってことでもない。たしかに、うちのクリニックは、子供連れの方が多い。でも、街の中で声をかけられるとは・・・・。しかも、小学生に。
うれしい。反面、変な格好してられないなって思った。どこでも、見られている。
クリニックにくる子供たちは、おそらく、主人をドクターと見ていないことが多い。
おそらく、お母さんと話しをする「おじさん」と思っているのだろう。
その証拠に、妊婦健診にいつも楽しみに着いてきていた、Rくん。
お母さんは四国の実家に里帰りされるため、当クリニックでの診察は終わったが、その、最終の日に私はRくんに
「また帰ってきたら顔見せてね。」と話しかけた。
そしたら、耳元で
「うん、絶対来るから。だってな、『もじゃもじゃマン』をやっつけないとな」
と言って帰った。
『もじゃもじゃマン』とは、主人のこと。以前、主人は手が空いた時間にRくんと怪獣ごっこのようなことをしていたら、髪の毛が天然で、クルクルしてるから、勝手にそう呼ばれるようになったのだ。
お母さんといつも話すおじさんは、Rくんにとっては、遊んでくれる、もじゃもじゃマンおじさんなんだろう。
怖いお医者さん、より、何だか白衣を着たおじさん。決して、子供たちにとっては、医療を受けにきているわけではないのだから、それで当然の表現なのだ。
                           eri.hosoda