細田クリニックのひとりごと

お産ラッシュ~

今日も、3人の赤ちゃんが誕生し、今、さらに、陣痛で頑張っておられるママさんがいらっしゃいます。
昨日も、3人。一昨日も3人。
医学的根拠は全くありませんが、満月が関係あるのでしょうか?
お産は、本当に、不意です。
予測は、あくまで予測であって、確定でも、確実でもありません。数時間後の病棟の様子は、わかりません。
イコール、産科に携わる者も、数時間後はわかりせん。特に、院長は、1時間後には、白衣なのかパジャマなのか、全く自分の意志では決められないのがこの仕事。

ここ数日、満床が続いています。
分娩予約は、取らせていただいても、37Wから一ヶ月の間に、生まれれば良いので、
全くもって、わからない世界です。
それでも、スタッフは、本当にすごいなあ・・と思います。
今日も、ノンストップで働いてくれるみんな。だれも、嫌な顔していません。
それどころか、笑顔です。
昨夜の夜勤のスタッフは、朝の申し送りが終わったあと
「もう、変わるからいいよ。帰っていいよ。」と私が声かけても、
「この方のお産は責任もって付かせて下さい。」と、勤務延長で、働いてくれました。
さぞかし、疲れていたことでしょう。でも、帰り際、「お産はこうであることは、わかりきってることじゃないですか・・」と、逆に私を諭してくれました。
1つのお産に対する責任感と、日勤勤務者が忙しいだろう、という、気配りが、すごく、素敵です。尊敬です。

どうしたら、すごいスタッフにすごいなあ・・と思う気持ちが伝わるのか、私の悩むところです。
私が、ある病院で働いていたとき、夜中に5人出産があり、かつ、帝王切開もあり、一人でやりこなしていたので、ヘロヘロの時がありました。
その、勤務の終わりに、「お給料もらってるんやから、忙しいのは、仕方ないよ。最後までやって帰りなさい。仕事は残さない!」と上司に言われたことを、鮮明に覚えてます。夜勤明けに、疲れが倍増しました。
もちろん、言われてる内容は、わかりますが、今、思い出しても「嫌なことを言われた」、というインパクトしか覚えていません。今でも、あの時言われた光景を、覚えてます。そんな、光景をスタッフに感じて欲しくないのです。
お給料もらっていても、生身の体、精神状態は、正直です。
しんどい、疲れた、満床だ、どうしよう!それらは、感じて当たり前のはずです。
看護師、助産師だけでなく、セクレタリーは、退院の方のベッドを片付けて、お産後の方のベッドを作り移動する仕事。
朝から、みんなで、ベッドの段取りをして、テキパキと動いてくれる姿がありました。
みんなみんな、顔は、笑顔です。

お産ラッシュに備えて、これから先も、お産の予約制限はさせていただく必要があります。
先も、述べたように、お産はいつ始まり、誰が始まるかわかりません。
しかし、今日はお産が多くありそうな日だから、スタッフが増える、医師が増える、ベッドが増える、というわけではありません。ベッドのことやスタッフのパワーを考えるとお産の制限をさせていただくしかないのです。
私や院長、スタッフの中にも、葛藤はあります。本意ではありませんが、来ていただいた方に、お断りすることもあります。心苦しいですが、でも、安心、安全、安らぎを保つためにも、仕方ありません。
ご協力をお願いします。

本当に、数日で、次々と命の誕生がありました。
それぞれ、経過も違います。関わるスタッフも違います。
つたない私も、外来と病棟の往復で、フォローしました。
みんな、元気に生まれてくれました。
外来では、小さかった新生児が自分で歩き、外来に来てくれました。抱っこさせてもらって、癒されました。
ご家族で妊婦検診にこられて、ここで生まれたお姉ちゃんが、ユニークな行動で、みんなで大笑いしました。
いい瞬間だなあ・・・と思います。

お産ラッシュ。
どこの、産婦人科でも、辞書にないこの言葉が、行き交っていることでしょう。
eri.hosoda