母親教室の後、いつも数人の方が質問に来られます。
先週も4~5人の方が残られ、不安なこと、疑問なことを聞いて帰られました。
もう、誰もおられないかな・・と思い、部屋から出ようとしたとき、玄関から戻ってこられた方が1名。
話をする前から、涙目です。
「どうしたの?」
その一言で、一気に溢れ出す涙。
お話の内容は、
「母が、食べろ食べろ、と言うので・・日によっては、おかわりしなさいって・・・。」
あとは、言葉が涙で続きません。
「毎日言われると、つらいね・・。しかも、クリニックでは、太りすぎないようにね・・と言われるし。逆のことを言われるとどうしたらいいのかわからいよね。両方のことを守ろうとするから、しんどいね。」
「でも、ママ自身が、太ってしまうことが、いけないこと!とちゃんとわかってるから、悩んでしまうのよね。ある意味、安心したよ。」
と、私の話。
今の時代は、妊婦の肥満がいろいろな合併症を引き起こしたり、難産につながったり、で、太りすぎることがハイリスクであることを切々と指導しています。
きっと、食べなさい!と言われるお母さんの時代は、そうだったのでしょう。食べなさい、という指導ではなく、指導そのものがなかったのかもしれません。
「でも、お母さん、娘が難産になってもいい!とか、血圧上がってもいい!と思っておられるわけではないから。食事を考えて食べるということを知らないだけ。」
「お母さんは、がっつり食べさせることが、娘の体に良い!と思い込んでおられるの。それが、実家に帰っている娘への親の役目と思っておられるんよ。」
「もっと食べなさい!と言ってこられたら、頭から言い返すのではなく、笑顔で1回『ありがとう』と言ってみたら?それから、病院ではこうこう言われれるんよ。だから、おかわりしたり、大盛り食べたり、赤ちゃんの分として二人分食べる必要ないんよ。と、やんわ~り言ってごらん。」
「よかったら、1回妊婦健診んに着いてきてもらって、いつもの妊婦健診の院長の説明聞いてもらったら?娘が食べ過ぎはダメなんよ!というより、少しは説得力あるかもよ。」
そしたら、一気に笑顔に。
きっと、いいお産をしよう、赤ちゃんの命を守ろうとするママの思いが、お母さんにわかってもらえないための悩みだったんだな・・と伝わってきた質問でした。
親子でさえ、考えは違うもの。その上、メディアや友達などの話が加われば、戸惑うのも仕方ありません。
でも、その溢れる情報の中で、選択していくのは、ママとパパ。
言われるから・・とか、こう書いてあるから・・とか、納得できないけど、先生がこう言うから・・、ではなく、
ちゃんと自分の中で消化して、命を守ってあげてほしいな・・と思います。
・・・ママ。ちゃんとお母さんに言えたかな?
eri.hosoda
月別アーカイブ: 2014年5月
5月
1日が20時間になったかのように、毎日があわただしく過ぎて行き、もう5月。
1年の3分の1が終わってしまいました。
例年の4月より、寒く感じる日が多かったですが、GWになると同時に、夏を感じる暑さに。
ちょうどいいくらい・・という気候は年々減ってきているように思います。
テレビでは、韓国の沈没船の事故のニュースが毎日報道されています。
時間が経つにつれ、いろんな映像が公開されています。
甲板にいる人をボートで救助し、沈没していく船を離れていく。
その様子の映像の横に、沈没していく船の窓を中から椅子のようなもので、叩き割ろうとする人の姿。
きっと、ありったけの力で、死にもの狂いで、窓ガラスを割ろうとしたことでしょう。
部屋を動かずに・・という放送を信じ、そこに残った人は逃げ場を失ってあふれてくる海水をどんな怖さで見ていたことでしょうか。
それでも助けてくれる、と信じ・・・・。でも、その気持ちとは裏腹に窓から見える景色は海の中に少しずつ沈んでいく光景、どんなに怖かったことでしょう。
生き地獄だったことでしょう。
救助を終えボートで去る人は、沈没していく船の窓を見たのか見えなかったのか、今となってはわかりません。本当は見えていても、どうしようもなかったのかもしれません。でも、船の中にいた高校生の目には、救助ボートが去っていく光景が、沈みつつある窓からの海面のむこうに、しっかり見えていたことでしょう。
そこの窓を割って、這い出せば、その人たちに救ってもらえる・・・、そう思って力を振りしぼりガラスを割ろうとしてた、そして届かぬ声で叫んでいたことでしょう。
まだ、17、18歳の少年、少女がなんで、こんな苦しめに遭わなくてはならなかったのか、死ななくてはならなかったのか、もう一度、船に乗る前にタイムワープして戻してあげたい・・・・・。
よその国の出来事だけど、感情ある人なら誰もが、苦しい思いをする事故です。
沈みながら苦しみながらなくなって逝った高校生たちに代わって、悲しみや怒りをぶつけたくなります。
暗い悲しい話はおしまい。
クリニックでは、ほほえましい光景がありました。
数日前の帝王切開の出産光景。
お兄ちゃん(4才)が、本当に朗らかに赤ちゃんを待っていました。
私たちの言うこと、やること、完璧に見ていて、うまく私たちに関わってきてくれました。
ちゃんと会話が通じ、私たちに、微笑む時間をくれたように思います。
名前もお兄ちゃんなりに考えていました。
1番に赤ちゃんと握手しました。
そのあと、ママが手術が終わるまでの間、「お母さん、大丈夫?痛くないかな?僕、心配・・・」と何回も呟いていました。
手術後、お母さん曰く、「この日をあの子が一番テンション高く待っていたんですよ」と。
すてきな家族。だから素敵なお兄ちゃん。きっと弟くんも素敵に育つでしょう。
余談ですが、そのお兄ちゃんに「クリニック儲かってるんやろ?」と言われ、1人で大爆笑した私。
「儲かってないよ~」と答えると「そうなん。大変なんや・・」と。
まるで、大人の会話。でも、ストレートな子供の会話。
絶対、お兄ちゃん、人気者になるよ!!!かっこいい大人になる!!!!と、抱きしめたくなりました。
eri.hosoda