月別アーカイブ: 2008年12月

年末

まだ、年末の感じがないね・・・
そんな会話をしながらでも、掃除をしたり、年賀状の準備をしたり。
家の掃除も中途半端ながら、クリニックの私の机の上も物置状態。
それでも、やってきます。2009年。

今年1年は、あっという間でした。
事故もなく、次々と元気な赤ちゃんが誕生し、また、スタッフもみんな健康で年越しを迎えられたことは、すごく、ありがたいことです。感謝しなくてはいけません。
世間では、解雇や不景気という言葉が日常に聞かれ、他人事ではないという人もたくさんおられます。
医療もかなり診療報酬が下げられていき、患者さまが増えていっても、診療報酬は変わらない、むしろ、減っていくときもあるというのが現状です。
かといって、医療のレベルも下げましょう、ということではなく、もちろん、レベルは上げていかなくてはいけません。
分娩費も1月1日をもって改正です。
「産科医療補償制度」
妊娠中の方は、ご存知だと思いますが、2009年1月1日から適応になるわけです。(ご存知でない方は一度ネット検索してみてください。)
この制度を知ったときには、どこの産科医も「こんな理不尽な・・」という意見でした。もちろん細田クリニックも。
その制度について、勉強をすればするほど疑問はふえてきました。しかし、国は待ったなしです。その制度加入の締め切りは、〇日までですよ、との催促。
現在加入してないクリニックは、〇〇と△△だけですよ、と追い討ちの通達があり、強制的な加入となったわけです。ほぼ国の命令だから疑問を解決する時間など猶予はありませんでした。
そうしてこの制度に加入しました。ほとんどの産科医はそのようです。
重度脳性麻痺の赤ちゃんが誕生した場合の金銭的な補助。そのために、妊婦さんは、保険会社に3万円払って保険をかけましょう、という制度。
この制度、産科医、産科に携わるスタッフにとっては、歯がゆさを感じます。
それは、重度の脳性麻痺の場合のみ、かつ、分娩管理に理由があった場合の保証。軽症や早産の脳性麻痺の場合、また、他の疾患の場合は全く補償外です。
国の制度なのに、保険会社は民間。
妊婦さん全員3万円の掛け金をするわけですが、すべて、掛け捨て。また、加入している産科医でお産したいなら、妊婦さんが入りたくないと言う権利はない。妊婦さまの選択権はないわけです。
何より、重度脳性麻痺になられた方をお金で補償すればいいのか、という問題。
出産時、3万円かけて、3000万円保険金が出ますよ、ということです。
私たち現場で働くものにとっては、分娩による理由で赤ちゃんにストレス、負担をかけないよう計り知れない神経とパワーを費やします。
元気に生まれてきてくれて、おめでとうと笑顔で言えるよう、そのために、妊娠中の管理、分娩進行中の管理を一生懸命やっていうわけです。
分娩に携わるスタッフは 誰一人、脳性麻痺になるようなお産の管理を行うことはありません。少なくとも細田クリニックのスタッフには、そんないい加減なスタッフはいない、一人ひとりの判断力は優れている、と自信があります。過信ではなく、一生懸命ということです。
よって、細田クリニックで生まれてきてくれた赤ちゃんは、分娩による脳性麻痺の赤ちゃんは誰一人いません。
さらに言うなら、私が過去何千例と立ち会った出産において、分娩によって起こった脳性麻痺児に出会ったことはほとんどないのではないでしょうか。(他の理由によっては1、2例いらっしゃったという記憶はあります。)
そんな現状で3万円の掛け捨ての保険。
国は、妊婦さまがもらえる分娩費手当金を3万円増やすのだからいいでしょ、妊婦さまには負担になってないはず、という意見です。
それなら、国にはもっと、他に補償していただきたい事が山ほどあります。妊婦さまから3万円を・・という形をとるのなら、産科医療の現場を、もっともっと知り尽くしてから、そのような制度を作って欲しかったものです。
私たちが、元気な赤ちゃんを産んでいただくことにどんなに一生懸命であるかということを知って欲しかったです。分娩がスムーズに進むことを一生懸命にやっていれば、分娩による脳性麻痺はゼロのなるのですから。
現場に働くものが100%納得ができないまま、強制的にこの制度がスタートしたことには疑問が残りますが、3年後5年後と見直すという国の意見を信じて、可動します。
この制度を開始するに当たり抱いた疑問は是非国のお役人さんの耳に入って欲しいものです。

何だか、難しい話で年の締めくくりとなってしまいました。
2009年も元気な赤ちゃんが生まれてきてくれること、いろんな方々とお知り合いになることを思いながら、年末のごあいさつにさせていただきます。
ありがとうございました。どの方も、よいお正月を。


                                eri.hosoda

プレゼント

画像-0166数日前、妊婦健診に一緒に来ていた男の子の釘付けになったもの。
それは、診察室の机においてある、揺らぐ、シルバーの物体。
お母さんと一緒にやってきた子どもたちは、99%診察室においてあるミニカーやおもちゃに興味津々。かつ、院長や看護師からもらえるシールの催促。
そんな光景は、見慣れているが、その光る物体を、ジーと眺めている男の子は初めてかもしれない。


その光る物は、実は、ボールペンなのだ。
今年の10月、院長の○○才の誕生日にスタッフみんなからのプレゼントだ。
毎年、スタッフみんなから、プレゼントをいただく。
去年は、診察中にも簡単に飲める、かつ保冷がしっかりできる水筒であって、
毎日お茶を入れて愛用中である。
今年は、このボールペンをいただいた。
ボールペンというより、インテリア、かつ、オブジェ。
まさに院長好みで、絶対欲しそう~というデザイン。
夏の終わり頃から、何がいい?とスタッフから、私にも何度か尋ねられた。
診察に使うもの?かつ、ホッとできるもの?浮かばない。
なぜなら、院長は、ホッと一息の時間が空くと、一人で雑巾を持って、空き室や待ち合い室の掃除に出かける。そんな院長に見合うもの、スタッフは難しかっただろう。

(話は反れるが、掃除繋がりで。
ルームセクレタリーをはじめスタッフみんなきれいな環境は、しっかりできているのだが、どんな方法でも落ちない汚れがあると、何気なく院長に報告。
それを落とすのが院長の仕事だ。だれがやっても落ちない汚れが薄くなれば、
誇らしげに院長の役目終了なわけだ。
掃除だけでなく、電球を替えるのも全部院長の仕事なのだが、ある意味、院長兼用務員のおじさんぽい?クリニックに唯一の男性だから仕方ないことだが、結構やりがいを持っているらしい。)

そんな院長に贈られたプレゼント。
雑巾だけでなく、ホッとする時間にはこんなボールペンでゆっくりと・・、というスタッフの思いにより選ばれた。
診察室の机の上にある揺らぐ物体。
あまり、気付かれないことが多いのだが、そのボールペンにひきつけられた男の子。手にはシールを持っているが、視線はジーとそのボールペンを眺めていた。
何だろう?と思っているのか。
触ってみたい、と思っているのか。
何か光でもでるのかな?と思っているのか。
ほほえましく、かわいい光景だった。
もしかして、将来大人になったら、院長のセンスと同じかも・・・。
eri.hosoda






3才

今日12月5日はクリニックの誕生日。
今日で3回目の誕生日を迎えたわけなので、3才。
長いように思うこともあるが、改めて考えてみると、あっという間の3年間というのが本音。
たくさんの赤ちゃんが元気に生まれてきてくれたこと。
恵まれたスタッフで3才を迎えられたこと。
たくさんのことを教えてもらい、たくさん勉強したこと。
細田クリニックという名前が、少しずつ地域に根付いてきてくれたこと。
どれも、無事、3才を迎えられたことに感謝しなくてはいけない。
5才の誕生日、10才の誕生日、クリニックが存在する以上は、無事に迎えられることを祈りつつ、日々過ごしていくことを誓う。

産科医療はこの先、どうなるか、わからない。
世間の動きだけでなく、いいお産を援助する院長、スタッフの思いも。
もちろん産科を辞めることなど、考えていないが、もし、院長が辞めなくてはいけない状態(たとえば、病気や動けない状態)ともなれば、有無も言わず閉院。
患者様、妊婦様が誰も来られなくなるほど、やばい産科(笑)になれば、閉院。(←そんなことならないようにスタッフみんな自信はあるが、これだけは、患者さんや妊婦さんが決められることだし(笑)・・)
そんなことがない限り、お産をやり続けるであろう。やる以上、あらゆるパワーと自信、判断力、体力、など、どれもパワフル状態でいなくてはいけない。その一つでも欠けたら、産科をやれない。というか、やるべきではない。
「細田クリニックがいいよ」と言われ、やすらぎ・安心・安全・信頼を感じて来ていただける、ポリシーを守り続けていこうと思う。
その信念が続く限り産科医であり続けると思うが、ほんの少しでも、何かが欠けたら、細田クリニックの終りだ。それは、院長の考え。
気力があっても、体力がなければ絶対無理。一晩二晩徹夜できなければ、もう、無理。それに伴って、判断力が落ちれば、命を預かる者として、失格。
逆に、体力はあっても、油断や隙が心にできれば、患者さんは来てくださらない。
院長自身は、いつかは訪れる加齢を考えると、フェードアウトしなくては、と常々思っている。
それはまだまだ先であるが、(ん?ある意味すぐそこかも・・)その時期が来るまで、今の思いで居続けられるまで
細田クリニックをやり続けるでしょう。
そして、5才のクリニックでは、さらにたくさんの赤ちゃんを無事に迎えることができ、今まで以上に立ち寄りやすい、気楽な産科でありたい。
           eri.hosoda