月別アーカイブ: 2008年3月

春がきた。少しずつ近づいているのがわかる。
花屋の店先では、チューリップが顔を出してきた。
野菜売り場では菜の花が売られている。
子ども用品売り場では、入学・入園準備とともに、五月人形が売り場を占めている。
街では、ダウンジャケットからスプリングコートを見かけるようになった。
バスでは、修学旅行生や若者のグループが乗り継いで観光しているのを見かける。
春だ。
本当は、一昔前までは、春が好きになれなかった。
私は、4月生まれ。誰より先に年をとる。それが一番嫌だった・・。
回りの何人かは、3月をきっかけに、4月より新しい職場や次のステップに進む人がいた。私には、職場を変わる勇気もなければ、新しいことをする度胸もなかった。このままでいいのか、といつも自問自答して自分が嫌になっていた・・。次に進む友人がうらやましかった。
だんだん日が長くなり、夕方5時でも明るい。何かしなくては、もったいない・・とあせっていた。
しかし、開業をしてからは、ネガティブな春のことは思い浮かばなくなった。
なぜかな~。わからないけど・・。
お産には春も冬もない。
外来に来られる患者さまも、内科の患者さまのように季節は関係ない。
(風邪が流行るとか、花粉症とか・・)
でも、クリニックの中の飾り物を季節に応じて変えてみたり、そして、妊婦さま、患者さま、そして、スタッフとの会話が冬から春になっている。
わずかに感じる春だけなのに、全く、春の嫌さを感じなくなった。
少し前に、私と同じく春が嫌だった友人に
「春、嫌じゃなかった?」と言われて初めて、今、嫌じゃなくなっていることに気付いた。
年を取るのはやっぱり嫌だけど(若いに越したことはない!)、春になるなあ、また、がんばろう、と思える。
つい先日、ある年配の外来患者さまと
「もう春ですね・・クリニックの中にいたら、なかなかわからないんです。」
と話しをしていた。最後に、
「ここの受付さんも看護婦さんも、いつもニコニコしてはるから、いつも春みたいですもんね。」
と、すごく綺麗な言葉で、すらっと言っていただいた。
こんなうれしいことはない。
                      eri.hosoda