月別アーカイブ: 2006年6月

四季

毎日、雨の日が続き、まさに、「梅雨」である。
洗濯物が乾かない、外を歩くと足元が濡れる、などなど嫌なことばかり。
梅雨が過ぎたら、今度は体温並みの気温の毎日が容赦なく続く。
それでも、昔に比べたら、四季を感じなくなった。
春が短い。秋も短い。
私たちが子供の頃は、もっとはっきり季節の変化を感じた。
だから、衣替えも意識してしっかりあったし、夏は半袖、冬はセーターは当たり前であった。
今では、夏も長袖を着る人が増えている。紫外線防止だけでなく、冷房がどこに行ってもかかっているからである。
冬も、デパートの中では汗をかくほど暖房されているし、家やマンションの構造も機密性が充実している。
こんなに、人間の生活が変化していく中でも、お産そのもの、人が生まれるということは、何も変わっていない。
でもはっきりと言えることは、生命の誕生そのものは何も変わっていないが、生まれてきた瞬間の取り巻く環境は、昭和の頃と今の時代とは全く違う。
クリニックの中は、24時間エアコンがかかっているし、初めて迎える今年の暑い夏もエアコンの中で過ごすだろう。
こうして、四季を感じることを忘れてしまうのではないだろうか。
暑さを感じるために、エアコンをやめるわけにもいかないし、現実問題、きき過ぎのエアコンの中では、長袖を羽織りたくもなる。
でも、考えが古くさいかもしれないが、今生まれてきた子供たちにも、四季を感じて欲しい。それは、体感温度だけではない。「季節感」というものだ。
それは、生まれてきた赤ちゃんの家族の役目。家庭での会話。
教えて欲しいこと、伝えて欲しいことがたくさん山のようにありそうだ。
                eri.hosoda



人と人

私のいきつけの美容室。
4~5年前から行きだし、今でもその美容室しか行っていない。
そこは、不思議な美容室なのだ。
いわゆる、散髪屋ではなく美容室なのに、男性客が他の美容室より多いこと。
それに、孫が高校生ってくらいのおばあさんも多い。かといって、普通のギャルもいる。茶髪にカラーリングしている大学生らしき人、縮毛矯正している主婦・・・・。
街のあちこちの美容室を覗いてみても、こんなに、いろんな人が来ている美容室は見たことがない。
別に超おしゃれな最新のお店ではない。(店長さん、ごめんなさい)
なのに、なぜ、いろんな人が集まってくるのか・・。
それは、人柄なのであろう。
店長さん(私はマスターと呼んでるが)は、本当にいろんな人と話ができる。
男の人とは、車の話し、サッカーの話し。
おばあさんには、どこどこのお店の何がおいしい、って話。
主婦の人には、どこの学校はどんな特色があるか、って話し。
今話題になってるニュースや話題など、本当にドラえもんのように湧き出てくる。
だから、人が集まるのだろう。
美容室や散髪屋なんて、一角曲がれば、絶対と言っていいくらい1軒はある。
なのに、その美容室に遠くからでも来られる理由、いろんな人が自然に来られる理由、それは、人と人なんであろう。
マスターとお客さんの関係が、切る人と切られる人だけではないような気がする。
マスターがそうであるから、スタッフのお姉さんもそうだ。
だから、私は、この美容室が大好きだ。
産婦人科のクリニックは、どんな人でも来てください・・・というわけにはいかない。
でも、その美容室の大好きなところはお手本にしたい。
そんな中、院長自ら学んできたこと。それは、クリニック待合にも男性向き雑誌を並べてみよう、ということ。
そして、その雑誌だけは、なぜか、院長自ら本屋へ行き、買出しをしている。
                        eri.hosoda

事件

どの新聞のトップも、今日は小学1年生男児殺人の容疑者逮捕の記事が出ていた。
想像もできない人間関係。
まだ、ほんの一部しか明らかになっていないが、殺された男児の2軒となりのおばちゃんが、しかも、わが子を亡くしたばかりの母親が、男児の殺人に何らかの形で、携わっていたらしい。
わけがわからない世の中になってきた。
ことわざで
「遠い親戚より近くの他人」
と言われるくらい、いざという時は近くにいてくれる友人知人が助けになると信じていた。実際そう感じる事はたくさんある。
体調を崩したとき、子供の学校のことでわからないとき、おいしい食べ物をいただいたとき、やはり、遠い実家の母親より、日々顔を合わせる友人たちが話しを聞いてくれたり、手を貸してくれたり、お裾分けしたり・・・。
でも、こんな私の今ある環境とは裏腹に、同じ町内の中の人同士で、人を殺められることが実際にあったわけだ。
クリニックでは、患者さまや妊婦さまが来院された最初の頃に、「家族で大きな病気の方はありませんか?」と聞く。
今はまだ、「祖父が、胃ガンです」とか、「母が糖尿病です」と普通の答えが返ってくる。でも、今生まれてくる子供たちが大人になったとき、もっと複雑な世になって、列車事故や飛行機事故も増えて、無差別殺人なんかも増えてしまって、
「父は、脳出血で、母は、通り魔に殺されました」とか、
「父は殺され、母は列車事故で亡くなりました。」
なんて会話が当たり前になりはしないだろうか。
そんな世の中にならないように私たち大人は真剣に考えないといけないのだが、はたして、どうしたらいいのだろうかは、わからない。
今生まれてくる子供たちを育てるだけでなく、人としていい人間になってくれること、そして、いい環境を作ってやること、当たり前のことだし、生まれたばかりの赤ちゃんを目の前にすると大人は決意することであろう。逮捕された容疑者も1度は思ったであろう。
人として生まれたのに、人を殺めたり、ましては、自分を殺したり(自殺)したりしないよう精一杯生きることという、生きる基本を身を挺して教えていかないといけない世の中になったのであろうか。
悲しい。今、何も知らず生まれてきた子供たちを、そして、一生懸命生んでくれた父母を決して悲しませたくない。
                eri.hosoda