細田クリニックのひとりごと

立会い分娩

先日、細田クリニックでお産をされたお母さんと話す時間があった。
2月にお産をされたので、そのとき生まれた赤ちゃんは、ハイハイどころかつかまり立ちをしている。驚き・・・。
あの、おっぱいを吸っていた赤ちゃんが、パンを手に持って食べている。
お産に立ち合った2才になるお姉ちゃんは、保育園に行っているので会えなかった。
お母さんに聞いてみた。
「お姉ちゃんお産の光景覚えてないでしょ?」って。
それが、驚く答えが変ええてきた。
「しっかり覚えてるんですよ。クリニックの前を通ると、
『ママここでウーンウーンって言ってたな』とか『○○ちゃん(←妹)とママがここに泊まって△△ちゃん(←自分)はおばあちゃんと病院来たよ』って言うんですよ。」
分娩室の中の状況もはっきり覚えていて
『先生いたね~』
とか
『○○ちゃんママの向こうにねんねしてた』
というらしい。
分娩台の向こうに新生児用のベッドがありそこに妹が寝ていた光景をパパに抱かれて、確かに見ていた。
そのときは無言であったが、しっかり覚えているのだ。
赤ちゃんがどうやって生まれてきた、とか、生まれた直後の新生児の姿は記憶から消えているのであろうが、ママがしんどそうにしていたこと、家族が4人になったことは覚えているのだ。
今まで、経産婦さんの半分以上の方はパパといっしょに上のお子さんが立ち会っている。
例えば、お母さんが陣痛のときはいっしょになって、呼吸法をやり、手やおなかをさすって、がんばって~って涙ウルウルの子。
生まれて、おめでとうの声に泣き出す子。
眠いのに必死で目をこすりながら起きている子。
生まれた後の反応は、3才くらいまでのお兄ちゃんお姉ちゃんは、不思議そうに、また、想像していた赤ちゃんと違うことに一瞬固まってしまう。でも、拒否はしていない。
でも、それ以上の年令のお兄ちゃんお姉ちゃんは、本当にうれしそうにしている。足をさわってみたり、ずっと、そばにいたがる。パパが帰るよ、と言っても帰りたがらない。
子どもを立ち合わせるか否かはご両親の考えであり、立ち会うことがいいかどうかは各家庭によって違って当たり前である。
最近、毎回妊婦検診についてきているお兄ちゃんお姉ちゃんはお産が夜中でも起こしてほしい、というらしい。きっと、家庭でも、家族が増える、妹か弟が生まれるという会話がなされているのであろう。
私たちは、分娩に立ち会った子どもたちが、家族が増える、ということを喜びに感じられるような自然な雰囲気を作っていかなくてはいけないのであろう。
それは難しいことに思うが、作り上げた雰囲気ではなく、スタッフもご両親も自然な係わり合いをしていれば、2才であっても、5才であっても、家族が増えたことを自然に受け入れて記憶に残って行くのではないかなあ、と思う。
                          eri.hosoda