細田クリニックのひとりごと

ある外来

それは細田クリニックの話ではない。
近くの開業医さん。
私の体のことで、数年前からお世話になっている。
定期的に受診はしていたものの、油断してたのか、ドカンととばっちりを自分の体に受けてしまった。
スタッフに迷惑をかけたことや、その先生から主人に話しがある、というほど・・になっていたことに反省。
それで、主人と私はその医院で診察順番を待つことになった。
たくさん待っている患者さん。
コクコク居眠りをされている方、雑誌や本を読みふけってる方、などなど。
その間にも次から次に入ってこられ、15席ほどの椅子は、常に埋まっている。
もちろん、私はその日、予約外で受診のため、後から来た予約の方が優先、というのはわかってはいるが、2時間は待った。
私の順番が来るまでの2時間、待っていらっしゃる患者さんは、誰一人、まだ?と受付に行かれることはない。夜の7時外来受付終了時間になっているが、このままだと明らかに10時近くになるだろう。
もちろん、小さいお子さんやしんどい方がおられないのは、待てる理由であろうが・・。1時間半待ちで、「今日は早いな・・」と独り言を言いながら、入っていかれた方もある。
そして、私も、中に呼ばれた。
「ご無沙汰やね。今日は、マシか?」
ゆっくりと先生が話し出され、ゆったりと、流れている診察室。
先生は、話を聞きながら、時々、背もたれに深くもたれ、こちらを向き、笑顔で話をされる。本当は、厳しい先生なのだが。
看護師さんも、せかせかしていない。
外に10人以上の患者さんが待っている、という慌しさはない。
10分くらいの診察時間。
でも、診察の後は、「待たされた」という感覚は全くなかった。
しっかり診察を受けた、という満足感があった。

その感覚。

きっと、そこに通われている方、みんなあるのだろう。
だから、いつ順番が来るかわからなくとも、待てるのだろうし、先生が信頼でき、診て欲しいから、待つのだろう。
待たされるのではなく、自ら待っているのだ。
主人も私も、すごく、教えられた。
細田クリニックでも、来られる人数が増えれば、必然的に待っていただくことになる。途中でお産があれば、さらに、待っていただかなくてはならない。
来られる患者さまに、「今日の午前は、もう、50人診たので、それ以後の方は診ません」や、「今日は多いから、急いで診ます」なんてことはありえない。来られる患者さまはみなさん、自分を診てもらうために来られている。だから、何人来られても、丁寧に、穏やかに、満足いくように、その目の前に座られた方中心の診察をすることを意識してやらなくてはいけないのであろう。当たり前のことだし、日ごろ意識は充分している。しかし、自分が待つ立場になって、再度、痛感したことだ。
産婦人科はみんな選んでこられる。
選ばれなくなったら、産婦人科をやめなくてはならない。それは、産婦人科として魅力がない、ということ。やっている意味・価値を評価してもらってないということ。
散髪屋さんに、だれも散髪しにこない、喫茶店に誰もお客が来ないのと同じ。来て頂ける方が少なくなり減っていけば、実際問題経営だって成り立たない。
今、たくさん来ていただくということは、いろんな面で、細田クリニックに行こう、と選んで来てもらっているのだから、待ち時間(短くする努力は常に最大限しています)があっても「やっぱり診てもらってよかった」という思いで帰っていただかなくては、と痛感した。


                                  eri.hosoda