細田クリニックのひとりごと

ありがたさ

先週の金曜日、朝は、何の問題もなく外来もスタートした。
だが、外来中、何だか診察室も受付も待合も、ひんやりしてきた。時間がたつと、ひんやりを通り越して、寒~って感じに・・。
確かに、昼から寒波到来という天気予報は耳にしていたが、エアコン温度を上げても上げてもおっ付かない。
その犯人は、エアコンが作動していなかった。風は出てきているものの、冷たい冷気が入ってくるだけ。
あわてて、外来1階全部のエアコンをストップした。
1年に1回は、機械や空調の類の総点検をしてもらっているのに、予測できる故障ではないのだろうか。
病棟や分娩室など、1階の外来スペース以外はあったかい。温風が心地よくONされている。それは、救いとはいえ、この外のように寒い外来の空間。何とかしなくてはいけない。
即、業者の方に連絡し、点検していただいた。
「〇〇の何とが、寿命が来ていて、1年1回の点検では見切れないところの故障だと思います。時間と費用がかかるけど、直しますか?」
全く機械にうとい私には、何の何が故障しているのか、チンプンカンプンだったけれど、直しますか?と言われても、直してもらわないといけない。
私「すぐに、直してください。」
業者さん「わかりました、来週中には直します。」
ちょっと!!!来週中??!!
ありえない。こんな外のような寒さの中で診察をしなくてはいけないなんて、来られた患者さまは堪ったものではない。
私「すぐって、今すぐってことなので・・。1時間でも早くお願いします。」
業者さん「土日は部品の会社もお休みになるので、最悪土日は工事できません。今この場で部品の調達できたら、明日部品が着次第工事、ということになります。おそらく、1箇所部品を変えたら、稼動すると思うので・・」
私「産婦人科は土日ありません。とりあえず、動くように手配してください。」
そこからが、大変。
金曜日の夜診、土曜日の午前診。合計したら、患者さんだけでも100人近く、ご家族も入れたらその1.5倍の方は、この外来を訪れる。
そこで、少しは寒さをしのげるかと、ひざ掛けを買いに受付スタッフが買出しに。大量のひざ掛けを設置。
残った私は、玄関に【本日エアコンの故障にて・・・・・・・ご迷惑おおかけいたします】の張り紙作成。
衣服を脱ぐ内診室には、小さいハロゲンヒーターをおいた。クリニックには2台しか、ヒーターがないから仕方ない。

土曜日は朝から工事開始。夕方には直るであろうとのこと。

それがだ!!!
土曜日の夕方、携帯がなった。
業者さん「さらに故障が見つかって、まだ、動きません。土日なので今から部品の手配はできません。月曜日朝一に手配しても火曜日になります。火曜日に部品が届き次第、工事に取り掛かります。申し訳ありません。その代わりに、ヒーターをご準備します。2台でいいですか?」
私「いや、3台で!とりあえず、今度は完全に復旧させてください!!」
そういうわけで、月曜日火曜日は業者さんが準備してくださったヒーターと、私の自宅から持ってきたヒーターを追加し乗り切った。

本当に1番寒いときに、申し訳なかったと心よりお詫びします。

火曜日の午前11時頃、工事終了。じんわり暖かい風がエアコン口から出てきた。すごくありがたく思え、仕事もはかどってきた。

普段ボタン一つで温まることが当たり前になっていたけれど、そのありがたさを身に染みて感じた。そして、17日がたまたま阪神淡路大震災の日。同じ時期に、体育館で毛布だけに包まれて休んでおられた方、本当に本当に寒く、切なかっただろうな・・と今更ながら感じた。
そして、一生懸命直してくださった業者さん。でも、この事件で思ったこと。「・・・ダメだったので、次の部品で修理します、火曜日まで待ってください・・」そういう意味あいの言葉がいえない仕事、産婦人科。
赤ちゃんの命、お母さんの命、ダメだったので、次・・という訳にはいかにいかない。部品を取り替えましょう、という訳にもいかない。土日だから、週明けまで待ってください、とも言えない。
そんな仕事をしているんだなぁ・・と、今の仕事に重さと緊迫を感じた。

eri.hosoda