細田クリニックのひとりごと

5月

1日が20時間になったかのように、毎日があわただしく過ぎて行き、もう5月。
1年の3分の1が終わってしまいました。

例年の4月より、寒く感じる日が多かったですが、GWになると同時に、夏を感じる暑さに。
ちょうどいいくらい・・という気候は年々減ってきているように思います。

テレビでは、韓国の沈没船の事故のニュースが毎日報道されています。
時間が経つにつれ、いろんな映像が公開されています。
甲板にいる人をボートで救助し、沈没していく船を離れていく。

その様子の映像の横に、沈没していく船の窓を中から椅子のようなもので、叩き割ろうとする人の姿。

きっと、ありったけの力で、死にもの狂いで、窓ガラスを割ろうとしたことでしょう。
部屋を動かずに・・という放送を信じ、そこに残った人は逃げ場を失ってあふれてくる海水をどんな怖さで見ていたことでしょうか。
それでも助けてくれる、と信じ・・・・。でも、その気持ちとは裏腹に窓から見える景色は海の中に少しずつ沈んでいく光景、どんなに怖かったことでしょう。
生き地獄だったことでしょう。
救助を終えボートで去る人は、沈没していく船の窓を見たのか見えなかったのか、今となってはわかりません。本当は見えていても、どうしようもなかったのかもしれません。でも、船の中にいた高校生の目には、救助ボートが去っていく光景が、沈みつつある窓からの海面のむこうに、しっかり見えていたことでしょう。
そこの窓を割って、這い出せば、その人たちに救ってもらえる・・・、そう思って力を振りしぼりガラスを割ろうとしてた、そして届かぬ声で叫んでいたことでしょう。
まだ、17、18歳の少年、少女がなんで、こんな苦しめに遭わなくてはならなかったのか、死ななくてはならなかったのか、もう一度、船に乗る前にタイムワープして戻してあげたい・・・・・。
よその国の出来事だけど、感情ある人なら誰もが、苦しい思いをする事故です。
沈みながら苦しみながらなくなって逝った高校生たちに代わって、悲しみや怒りをぶつけたくなります。

暗い悲しい話はおしまい。

クリニックでは、ほほえましい光景がありました。
数日前の帝王切開の出産光景。
お兄ちゃん(4才)が、本当に朗らかに赤ちゃんを待っていました。
私たちの言うこと、やること、完璧に見ていて、うまく私たちに関わってきてくれました。
ちゃんと会話が通じ、私たちに、微笑む時間をくれたように思います。
名前もお兄ちゃんなりに考えていました。
1番に赤ちゃんと握手しました。
そのあと、ママが手術が終わるまでの間、「お母さん、大丈夫?痛くないかな?僕、心配・・・」と何回も呟いていました。
手術後、お母さん曰く、「この日をあの子が一番テンション高く待っていたんですよ」と。
すてきな家族。だから素敵なお兄ちゃん。きっと弟くんも素敵に育つでしょう。
余談ですが、そのお兄ちゃんに「クリニック儲かってるんやろ?」と言われ、1人で大爆笑した私。
「儲かってないよ~」と答えると「そうなん。大変なんや・・」と。
まるで、大人の会話。でも、ストレートな子供の会話。
絶対、お兄ちゃん、人気者になるよ!!!かっこいい大人になる!!!!と、抱きしめたくなりました。
eri.hosoda