細田クリニックのひとりごと

救急搬送

最近ニュースや新聞では1日1回は、医療の崩壊、産科の減少、などの内容が報道される。
本当にあった出来事???と思うくらいひどい内容もあり、今、京都の真ん中にいる私には信じられないこともある。
京都市内は大きな病院が閉鎖と言うこともなく、産科に関しても、日本一と思われるくらい多い地域になっている。
今、右京区に住んでいて、産婦人科を選ぼうと思えば、大きな病院だけでも、4か5病院あるし、個人の産科に関しては、10は超える。すごく恵まれた環境であり、喜ばなくてはいけないのであろう。
そんな中ニュースや新聞での出来事を目の当たりにした。
数日前、大阪市内の妊婦さまが、大阪市内から細田クリニックに搬送されてこられた。救急隊の話では、その妊婦さんは、産科の異常ではなく、内科の症状であったが、『妊娠中である』という理由だけで、どこの内科の病院も断られたとのこと。産科のある病院であっても、ほとんどの病院は、『うちにかかってないと診れません。かかっている産科に行ってください』と言われたそうだ。ということで、細田クリニックに大阪市内から救急搬送されてこられたわけだ。真夜中の出来事。こうして、受け入れ先病院を見つけるのに時間がかかり、受け入れが決まるまで1時間かかった、などと報道されてしまうのだろう。
搬送されて来られた方は内科的症状であったが、一刻を争うことはなかった。もし、一刻を争う状態だったらどうなっていただろうか、と思う。
もちろん、産科であっても産科以外の診断もする。かといって、最初から内科の症状と判っていて、診察することもせずに、産科に行きなさい、と言うのはどうか?と思う。
今までも、妊婦さまや婦人科の方が内科に搬送されて、内科的に問題ないので、帰宅する前に念のために産科で見て欲しい、と、内科医から搬送されてきた例はよくある。それは、まあまあ筋道が通っている。(しかし、ほとんど夜中の出来事で、内科で問題なく帰宅でき産科の症状がないのなら、朝まで様子を見るか、電話で様子を聞いて判断したりできるのであるが・・そのあたり内科医により判断が違ってくるのだ、それは仕方ないかと思う・・)
なのに、大阪では、本当に受け入れすら拒否があるのだ。救急隊の困り果てた生の声でわかった。
(もちろん、本当に受け入れられない病院もある。手術中で医者が手を離せない、本当にベッドが満床、などなら仕方ないのだが。)
私自身、救急車での移動は、何度か経験している。レースのようだ。座っていても、振り切られそうで、足で踏ん張らなくてはいけない。赤ちゃんの搬送のときは赤ちゃんをしっかり抱き、体全体を車のふちで押し支え、車に乗って数分で車酔い状態であるが、不安げな家族に笑顔で接したこともある。近距離だから耐えられる。急ブレーキ、蛇行運転は当たり前。そんな搬送が患者さまにとっていい訳はない。リスクは遠くに行けば行くほど高くなる。最短であって欲しい。
このままだと、本当に医療崩壊になりそうだ。いくら大阪府知事が橋下弁護士になっても、すぐに、どうにかしてくれるとは思えない。人任せではなく、医療する側、受ける側、両方とも何が問題なのか、洗い出して解決しないと、ますます、産科がなくなり、残る産科も簡単には受け入れが難しくなってくる。
と、こんなちっぽけなブログで論じても、解決にはならないのだが・・・。
                           eri.hosoda