細田クリニックのひとりごと

うどんとお産

今日は、シンプルな、暖かな、お産を紹介しようと思う。

日曜日の午前中に、「陣痛が10分ごとです」というお電話をいただき
来ていただくことにした。
20分ほどでクリニックに来られて、診察をした結果、
子宮口1~2cm、陣痛計を着けたら、まだ不規則で、間延びするときは12~13分間しっかり間があいていた。
つまり、初産婦さんなので、まだまだ分娩には道のりが長い。
ご主人と相談の結果、自宅に帰ることに決定。
産婦さんも、「まだ笑っていられるから・・」とにこやかに話しておられた。
それから2時間後、「5分おきになって痛さもかなりきつくなってきました」
と電話があり、再度来ていただくことにした。
そして、診察の結果、
子宮口5cm!陣痛間隔4~5分ごと。
入院決定。
着替えをしていただいて、母子手帳や診察券を預かり、陣痛計をつけて・・。
30分ほど赤ちゃんの元気な状態と陣痛の強さを確認したうえ、陣痛計をはずした。しばらくは、ゆっくり会話したり、呼吸法の練習をしたり、分娩待機室で過ごし、その後、3階の部屋に一度行きましょうか、という事になった。
分娩待機室からエレベーター前まで歩いた結果、かなり、きつい陣痛が数回。かなり、いい陣痛になってきたので、早かったら、今日中にお産になるかも・・、と話していた。
とりあえず、3階の部屋に行くのはあきらめて、また、陣痛待機室へ戻った。
そのときに診察、子宮口8cm。
あまりにも早い進行なので、早めに分娩室へ移動することにした。
そこへ、産婦さんの姉妹が来院。1回だけ腰をさすっていただき、陣痛の合間を見て分娩室へ。
分娩室へ入り、あっという間に、子宮口全開!
赤ちゃんを迎える準備をしているうちに破水。
それから、30分ほどでお産になり、元気な赤ちゃんの誕生、となった。早くて今日中、どころか、まだ、外は明るく5時にもなっていなかった。
その後のご夫婦と院長とベビー係の看護師と私とでゆったりと会話。
お母さん・・・「家に帰って、主人がお昼ご飯にうどんを作ってくれたんですけど、もう、痛くて食べられなかったんですよ。なのに、食べろ食べろって・・。あのうどんそのままにしてクリニックに来ました」
お父さん・・・「せっかく僕が作ったのに、うどん2~3本しか食べてくれなくって。そんなの、まだ子宮口1cmだったんだから、まだまだ。がんばって食べろ、なんて言ってたんです。
でも、こんなに早かったら、本当に食べられなかったんですね。僕の負けです」
普段から料理を作ってくれるらしいし、陣痛の時もいっしょに呼吸法をやってくれていたし、自然に腰をさすっておられたし、きっと素敵なお父さんになられることでしょう。何より、生まれた直後のお父さんの涙はその証拠だと思う。
感動と和気あいあいの中、私は、院長の方を向いて
「お父さん、料理してくれるんですって」
と語りかけたら、お母さんは
「先生も料理されるじゃないですか・・。ブログで見ましたよ」
とフォローが入った。
ここぞとばかり、自慢げな院長。

入院されて、4時間ほどで元気な赤ちゃん誕生!・・・の裏話。
お母さんいわく、「うどんを見るたびにお産を思い出しそう」と笑顔だった。
ps:ブログに書くこと本人さん了解済み。記念になるでしょうか?
                eri.hosoda