月別アーカイブ: 2008年4月

記憶力

よく街中で、今までにお産された方や、外来通院されている方とお会いすることがある。
どの方も、お顔ははっきり覚えているし、細田クリニックでお産された方、ということは、はっきりと覚えている。お名前もすぐに浮かんでくることが多いが、しばらくしてから「○○さんだ・・・」と思い出すこともある。
でも、去年までは、そうではなかった。どなたでも、すぐにお名前と何で外来にかかっておられるかわかったが、さすがに、外来患者様も増えてくると、買い物途中でお会いして、お話しをしても、お名前だけが浮かんでこなくって、考え込んでしまうことがある。お母さんは、入院中と違い、メークをされていたり、髪型を変えられたり、おしゃれをされたいるとわからないことが多く、
もちろん、赤ちゃんを見ても、すっかり大きくなっておられ新生児の頃の面影はない。案外、お父さんを見て、「○○さんだ」とわかることもよくあるくらいだ。
院長と私、二人で考えても浮かんでこないこともあり、買い物の帰りの車の中で、
・・・・ほら、お産はすごく楽だったよね。2年前の夏くらいかな。
・・・・上のお兄ちゃんが、かわいくって、いつも、気さくにそばに来て話してくれて。
・・・・ご主人が外来にいつも来られてて、背が高くて・・・
そうした会話の後、自宅につく頃、○○さんだ!と思い出すことがある。
(ごめんなさい)
それなのに、クリニック受付にすごい人がいる。
名前も顔も、カルテ番号もすぐに言える。
最近いつ受診されているか、すぐに言える。
受付前の自動ドアが開くか開かないか、というタイミングで、その入ってこられた方の名前がわかる。
私たちが、「1年前くらいのお産の人で、二人めさんで、上がお兄ちゃんで、お母さんはショートカットで、背は高くって・・・」
と言えば、
「きっと、○△さんでしょ。去年の夏頃にお産された・・・。赤ちゃんの名前は、※□ちゃんですよ。カルテは、×××番。」
と即答。それが、完璧に当たっている。一人二人ではない。カルテの数の9割以上の患者さまの把握を記憶している。
びっくりするのを通り越して、すごく尊敬してしまう。

街で買い物途中にお会いして、声をかけてくださるのは、すごく、うれしいし、こちらから声をかけることもよくある。大きくなられた赤ちゃんを見せてくださると、もっともっとうれしい。
でも、受付の彼女と違って、私も院長も記憶力が落ちてきている今日この頃・・・。患者さまの数が増えたせいだ、と思っているけれど、年齢のせいなのかもしれないが・・・・。
贅沢な希望であるが、もしよかったら、お名前を名乗っていただけたらなあ、と思う。
                           eri.hosoda





産婦人科

肌寒い4月1日。
天神川の桜もきれいに咲き並んで、春が来た!と思える季節になった。

昨日、院長の大学時代の友人が香川県から京都に来られた。
まさに、4月1日で、お子様が京都の大学にこの春から入学との事で来られた。
何十年ぶりに会った、とのことらしいが、
「全然昔と変わってないな~」の会話から始まり・・(傍からみたら絶対学生には見えないのに・・・(笑))
お互い産婦人科の開業をしていることから、話は弾んだらしい。
そこで、話になるのは世間の産婦人科医不足、助産師不足の話。
四国のほうでも産婦人科医は減る一方だそうだ。
その先生も、ずっと一生産婦人科をやっていく自信はない、もちろん、子供に今の産婦人科医院を継承してほしいとも思わない、との話だった。
医学部を卒業しても、産婦人科希望の医師はゼロという大学も多く、
このままだと、5年後には産婦人科(お産をする医師)はさらに、3割は減るという予測だそうだ。
助産師も、どこも、不足状態。
細田クリニックに来られる経産婦さんに、前回のお産の状況を知るため、上のお子さんの母子健康手帳を持ってきていただいている。その、お産の状況を記入するページに、医師の名前はあっても、助産師の名前が書いてあることは、半数以下である。・・ということは、助産師がその場にいないということだ。法律上、お産は産科医あるいは助産師がいれば、できるわけであるが、お産直前まで看護師が観察し、お産になれば医師が来るという状況なのであろう。だから、看護師の中でも、産科だけは嫌・・と、特殊な科に思う人が増えてきている。

こうなったら、5年先、10年先、そして、今、生まれた、子供たちがお産する頃、どんな、環境になっているのであろうか。
今存在している産婦人科が残っているとは保証できない。減るであろう。
京都市近辺でも、入院施設を閉鎖する、お産の予約を制限するという病院を、この1年で、3~4施設はある。閉鎖・お産制限すれば、回りの産婦人科は、さらに忙しくなる悪状況。
私の知っているお産をされていた先生が、一人二人とお産をしない分野にいかれる。何で?と思ってしまうが、昼夜24時間365日拘束となれば、仕方ないのかもしれない・・。
わかっていても、どうもできない現状・・・・。もどかしい・・・・・。
そんな中、あえて開業し、自ら24時間365日拘束の産婦人科に突っ込んでいった院長と私。
やるしかない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
                                   eri.hosoda